ガートナーが重要視する“ビジネス・サービス”とは

2003/7/12

 ガートナー ジャパン バイスプレジデントの田崎堅志氏は、企業のネットワークへの投資について、「2004年以降に景気が回復すれば、より戦略的、長期的視点で新しいテクノロジへの投資が活発になる」との予測を明らかにした。昨年、今年の企業ネットワークのキーワードは「システム統合」と指摘。「システム統合の一環として、ネットワークの再構築が進んでいる」と述べた。

ガートナー ジャパン バイスプレジデントの田崎堅志氏

 田崎氏はガートナージャパンが7月3日に開いたイベント「ネットワーキング/テレコム市場将来展望」で講演した。田崎氏が示した企業ネットワークのロードマップによると、現在のトレンドは企業ネットワークの「インフラ強化/移行」。システム統合も含めて、ネットワークを統合。回線も広帯域化している。2003年後半から2006年にかけて立ち上がってくると見ているのが、データセンターやキャリアが、ネットワークそのものをサービスとして企業に提供し、運用管理を行う「マネージド・サービス」。マネージド・サービスに付随してネットワークに関するSLA(サービス・レベル・アグリーメント)も一般的になると見ている。

 田崎氏は「企業はITとビジネスをどう融合させるかに課題を絞っている。データセンターやキャリアは、ただのインフラ、ネットワークではなくて、どういうビジネス要件が企業から求められているかという“ビジネス・サービス”の視点が必要になる」と述べた。「ビジネス・サービスの観点からサービスを落とし込んで提供する。サービス・プロバイダは、企業ビジネスのライフサイクルに合わせたスキルセットやサービス提供が必要になる」と指摘した。

 マネージド・サービスと重なる形で2004年中に現れるトレンドが「オンデマンド」。必要に応じて、必要な分だけネットワークを利用するという考えだ。社内外を問わずにネットワークリソースを利用できるようになり、自社内だけでなくパートナー企業、自宅で作業するスタッフなどがリモート環境で共同作業する「バーチャルスタッフ」という考え方が企業に広がるとガートナーは予測する。

 マネージド・サービスやオンデマンドのサービスを組み合わせたテクノロジのトレンドとして2006年にも登場するのが「自律型」。オンデマンドサービスの広がりで企業が利用できるネットワークの選択肢が拡大し、管理が複雑化する。その複雑化したネットワークやインフラで、リソースを事前に確保したり、自己修復、自己最適化させるのが自律型の考え方だ。田崎氏は、「自律型コンピューティングはサーバベンダがテクノロジを開発したり、コンセプトを打ち出しているが、ネットワークでは自律は意識されていない。だが、2007年にはネットワークも自律への対応が必須」と述べ、「キャリアや企業は、今から対応を考えないと間に合わないだろう」と指摘した。

(垣内郁栄)

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