「2時間でXML処理をスピードアップします」、データパワー

2003/7/17

 東京エレクトロンが発売した米データパワーの製品「XA35 XML Accelerator」(以下、XA35)と「XS40 XML Security Gateway」(以下、XS40)は、Webサーバ内で行われているXMLの変換処理や暗号化処理を外部に取り出して高速化するためのアプライアンス機器だ。通常、ソフトウェアの処理を高速化するにはサーバをアップグレードするか、もしくはチューニングするといった方法で行う。しかし、データパワーがユニークなのは、それをアプライアンスで解決するという点だ。

米データパワーの会長兼技術担当役員 ユージン・クツネツォフ氏

 この製品を開発した米データパワーの創設者で、会長兼技術担当役員のユージン・クツネツォフ(Eugene Kuznetsov)氏は、「多くの顧客はXMLを利用するときに、IPネットワーク上のワイヤスピードで処理できることを期待するが、実際にはそうではない。XML処理は遅いものだ」と、従来のXML処理の問題点の1つに処理スピードがあることを指摘する。それを解決するのが同社のアプライアンス製品だというわけだ。

 XMLデータは、送信相手に渡るまでにサーバ内で何度かのXSLT(変換処理)や暗号化処理が行われる。しかし同社のアプライアンスを導入すれば、Webサーバは変換や暗号化処理をする必要がなくなり、アプライアンスが必要な変換や暗号化を行ってくれたうえで相手に届く。「サーバからXML処理をオフロードすることで全体のパフォーマンスが向上する。かつてTCP/IPはルーティング処理をサーバで行っていた時代があった。しかしいまでは専用のルータ機器が登場し、ルーティング処理はサーバからオフロードされている。XMLでも同じことが可能だ」(クツネツォフ氏)。

 しかし、サーバの処理を分散させてパフォーマンスを改善するだけであれば、単にXML処理専用のサーバをもう1台立ててシステムに加えれば、同じようにパフォーマンスの改善を図れるはずだ。わざわざアプライアンス機器を導入する必要はない。それに対して、クツネツォフ氏は3つの理由を挙げて反論した。「第1に、通常のサーバはハードディスクや、パッチを当て続けなければならないOSなど、ハード、ソフトの両面で複雑な要素を抱えている。アプライアンスならばシンプルで、維持管理コストが圧倒的に低い。第2にわれわれの製品は導入が非常に容易だ。ある顧客は既存のシステムに対してわずか2時間で統合を行い、20倍の性能向上を果たした例がある。そして第3はパフォーマンスだ。当社のXG3技術は、代表的なXMLの変換ソフトであるXalanよりも圧倒的に高速だということが、第三者のベンチマークや顧客のシステムで証明されている」。

 同社の製品は、データ形式としてXMLを利用するWebサービスのシステムでも活躍できる。Webサービスの普及についてクツネツォフ氏は、「いつ普及が始まる、といった断定的な言い方は避けるようにしているが、Webサービスは、もっと高速で、もっと安くなっていく必要がある。また、必要なのはWebサービスに対応したオフザシェルフの(箱から出してすぐ使える)ソリューションだと考えている。しかし、日本のトヨタ自動車のような大企業はすでに一部で使い始めているだろうし、彼らのような大企業が普及のけん引役となっていくのではないか」と、その普及に楽観的な見通しを述べた。

(編集局 新野淳一)

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