アリエル、P2Pをビジネス仕様にチューンアップ

2003/9/3

アリエル・ネットワーク 取締役 最高執行責任者 小松宏行氏

 P2Pと聞いてどんなイメージが思い浮かぶか。多くの人はファイル交換ソフト「ナップスター」にまつわる少々きな臭いイメージを頭に思い浮かべるかもしれない。もちろん、P2Pという画期的な技術の優位点は理解しているだろう。しかし、技術的な革新性が必ずしもビジネスで成功を収める要因になるとは限らない。アリエル・ネットワークが頭を悩ますのは、自らが絶対の自信を持つP2Pの技術的なイニシアティブにもかかわらず、P2Pという言葉にまとわりつく市場のマイナス・イメージがいまだ完全に払しょくされているわけではない、というつかみ所のない『雰囲気』なのである。

 同社 取締役 最高執行責任者 小松宏行氏は言う。「P2Pにマイナス・イメージがまとわりついた最大の要因は、ユーザーの匿名性である。この匿名性を排除することで、セキュアな状態を維持し、ビジネス・アプリケーションとして信頼できる製品を作り出した」。同社がフレームワークから開発を行ったP2P型グループウェア「アリエル・エアワン」がビジネス・シーンで本格的に受け入れられるには、まずビジネス市場のP2Pに対する向かい風を追い風に変えなければならないのである。

 9月2日、同社が発表したのは小・中規模企業向けグループウェア「アリエル・エアワン」の後継版に加え、「アリエル・エアワン」にプロジェクト管理機能やToDo管理機能などを搭載した「アリエル・エアワン・プロ」の2製品。ビジネス・シーンで受け入れられる最大の要因ともなるセキュリティ対策として、大きく3層に分けて独自の機能を搭載している。プロジェクトの単位である「ルーム」にはルームの管理者(プロジェクトの管理者)が必ず設定されるが、参加者はルーム管理者の『招待』がなければプロジェクトのメンバーとして登録されない仕組みとなっている。また、ユーザーは、ソフトウェアの登録時にメールアドレスをIDとして、RSAの鍵ペアとx.509ベースの証明書を取得することになる。この鍵ペアと証明書がベースとなって本人の特定を行い、第三者の不正利用を遮断する。さらに、作成したデータは自動的に暗号化を施すことが可能となっている。機能面では、P2Pの弱点ともいえるクライアントのモバイル時、電源遮断時の動作をサポートする仕組みを用意するなど、さまざまな工夫を凝らしている。

 2003年8月終了時点で同社の顧客は「1万ユーザー」(小松氏)。同社では2004年3月までに2万ユーザーの獲得を目指すと意気込んでいる。

(編集局 谷古宇浩司)

[関連リンク]
アリエル・ネットワーク

[関連記事]
PtoP対応アプリ開発基盤を提供開始、アリエル (@ITNews)
PtoP型コラボレーションを企業に、日本初の製品がアリエルから (@ITNews)
PtoPを誤解している人々へ送る、「ArielAirONE」の威力 (@ITNews)
PtoPの盲点を克服した「Ariel AirOne」新版が春に登場予定 (@ITNews)
サンのPtoPは「JXTA」、ビル・ジョイが発表 (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)