新生ピープルソフトが手繰り寄せる“ERP第2の波”

2003/9/3

 日本ピープルソフトの代表取締役社長 加賀山進氏はJ.D.エドワーズとの合併後の販売戦略について、「ピープルソフトは大企業に強く、J.D.エドワーズは中堅企業に強い」と指摘し、対象企業の規模や業種別に製品展開する考えを示した。

日本ピープルソフトの代表取締役社長 加賀山進氏。J.D.エドワーズ統合後の社長に就任する予定

 日本ピープルソフトとJ.D.エドワーズは10月中にも製品ブランドをピープルソフトに統一する予定。会社組織の統合は年明けになる。統合後の新日本ピープルソフトの代表取締役社長には加賀山氏が就任することが決まっている。

 加賀山氏は国内のERP市場について、「業界ごとに浸透度がバラバラ」と指摘した。製造業や流通業、サービス業の大企業はERPの導入率が高いが、金融業や公的機関では導入が進んでいない。加賀山氏によると、このような業界別のERP導入のばらつきは欧米では少なく、「業界で差があるのは日本くらい」という。

 新日本ピープルソフトはERPの浸透度が低い業界をターゲットにする。ピープルソフト製品は欧米で強みを持つサービス業や流通業の中堅、金融、公的機関などに売り込む考え。サービス業の中でも通信企業やIT企業、人材派遣企業などに注力する。旧J.D.エドワーズ製品は製造業の中堅企業への導入を目指す。加賀山氏は「製造業から他業種へERPは大きく展開する。ERP第2の波が必ずやって来る」と強調した。

 ERP第2の波がやって来ても、ピープルソフトの最大のライバルがSAPであるのは変わらない。加賀山氏は対SAP戦略として、サービス業を中心に攻める考えを示した。理由は「サービス業は誰もスタンダードになっていないから」。加賀山氏は、SAPもサービス業を攻めあぐねているという認識。「パッケージソフトを生かし、手作り的な要素を加味しながらトータルコストを下げるという点ではピープルソフト製品は断然に優れている」として「5年以内にサービス業、公的機関で必ずERPの火がつく。1つ1つのプロジェクトで実績を積んで需要の爆発を待ちたい」と述べた。

 また、加賀山氏は、米オラクルが米ピープルソフトに対して買収を提案していることについて、「いろいろなハードルがあり難しいだろう。買収は成功しないと思う」と述べた。加賀山氏が指摘した買収成功へのハードルは、独占禁止法によって米司法省が買収を認可しないこと、米国の多くの州が買収に異議を申し立てていること、ピープルソフトのJ.D.エドワーズ買収が成功したことでピープルソフトの株価が上昇し、オラクルの買値が高くなってしまったことなどだ。これらの障害のため、ピープルソフト株の株式公開買い付け(TOB)期限前ながら、米ピープルソフトのCEO クレイグ・コンウェイ(Craig A. Conway)氏は「あれは終わった」と発言しているという。

 ピープルソフトは顧客と新規契約をする際に、「もし敵対的な買収を受けて、製品ラインが2年以内になくなってしまった場合は、契約額の何倍かを返す」という契約を結んでいるという。それだけ買収の不成功に自信を持っているということで、ピープルソフト社内では“終わった”という認識のようだ。

(垣内郁栄)

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日本ピープルソフト
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