[OracleWorld 2003開催]
OracleWorld会場に爆破予告、1万人が避難
2003/9/12
ピープルソフトの買収について説明する米オラクルのCEO室担当エグゼクティブ・バイスプレジデント チャールズ・フィリップス氏 |
米オラクルのCEO室担当エグゼクティブ・バイスプレジデント チャールズ・フィリップス(Charles Phillips)氏は、米ピープルソフトの買収計画について「買収は時間がかかる。過去の歴史から考えると買収の完了は来年の第3四半期、第4四半期になると思う」と見通しを明らかにした。開催中の「OracleWorld 2003」でのQ&Aセッションで述べた。
フィリップス氏は買収の進ちょくについて「(政府の)法律的な規制をクリアするところから始まる。政府の承認が下りていないので今は何もしていない」と説明し、買収完了まで時間がかかることを示唆した。米司法省が独占禁止法違反で調査していることについては、「司法省の決定時期は未定で、まだペンディング状態」としながらも「われわれの方が有利な立場。成功すると思う」と強気なコメントを述べた。
行政の決定前ながら、オラクルは機関投資家などへの説明は行っているようだ。フィリップス氏は「小さなソフトベンダがたくさんあるより、安定した大きなソフトベンダが2、3あり、利益を上げている方が望ましいというのが投資家の考え」と語り、投資家を味方につけていることを強調した。
オラクルは買収成功後の製品戦略をどう考えているのか。ピープルソフトはJ.D.エドワーズを買収済みで、オラクルがピープルソフトを買収すると、1社が3つのプロダクトラインを持つことになる。フィリップス氏は「3製品の統合を進め、ミドルウェアや開発ツールも合体させる。大変な作業でまったく同じ戦略を各プロダクトラインに対して採ることはできない。対応は既存の顧客を優先させたい」と説明した。
米オラクルのサーバテクノロジ担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのチャック・ロズワット氏 |
オラクルはまた、「Oracle 10g」で進めるグリッド・コンピューティングについての業界の新しい協力体制 を明らかにした。基調講演を行った同社サーバテクノロジ担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのチャック・ロズワット(Chuck Rozwat)氏は、「商用ベースで利用するグリッドのコンソーシアムを業界で築きたい」と述べた。コンソーシアムでAPIを共同開発し、商用グリッドのアーキテクチャになるように標準規格のとりまとめを進めるという。
コンソーシアムにはオラクルのパートナーや、Linuxの利用が多い金融やヘルスケア業界の顧客、ブレードサーバや自律型の運用管理ソフトを開発しているベンダなどに声をかけているという。グリッド・コンピューティングの業界団体には、オラクルも参加しているグローバル・グリッド・フォーラムがすでにあるが、ロズワット氏は新コンソーシアムについて、「グローバル・グリッド・フォーラムと戦うつもりはない」と話し、すみ分けを強調した。
爆破予告で1万人が避難
OracleWorld 2003が開かれて3日目の9月10日、会場のモスコーン・センターに爆弾を仕掛けたとの電話がサンフランシスコ市警にあり、オラクルは午後の基調講演を中止、1万1000人の来場者すべてを会場外に退出させる騒ぎとなった。市警と消防隊が会場を捜索したが爆弾は見つからず、悪質ないたずらと分かった。2001年の米国同時多発テロから2年を目前に、セキュリティ対策に神経質になっている米国社会の姿が垣間見えた。
爆破予告の電話を受けて、OracleWorld会場から退出する来場者。何台もの警察車両や消防車が駆けつけていた |
来場者に対して退出が命じられたのは、14時30分開始予定だったオラクルのバイスプレジデント ケン・ジェイコブス(Ken Jacobs)氏の基調講演直前。詳細な理由は告げられず、会場外に出るように命じるアナウンスがあった。米オラクルの説明によると、当日の13時20分(現地時間)、何者かがOracleWorld会場に爆弾を仕掛けた、と市警に電話した。市警はオラクル側に通告。オラクルのエグゼクティブ・バイスプレジデント チャールズ・フィリップス氏が、会場からの退出を即座に決定したという。同じモスコーン・センターで開かれていた別のイベントの来場者3000人も退出した。オラクルや市警から来場者に対して詳しい説明はなかったが、これはパニックが起きるのを避ける措置だったようだ。実際、来場者の多くは冷静な様子で、係員の誘導に素直に従っていた。16時40分過ぎには会場の安全が確認された。
延期されたジェイコブス氏の基調講演は翌11日に延期された。オラクルはこのような緊急事態にもかかわらず、会場から歩いて10分程度のホテルに仮設のプレスセンターを素早く設置。随時、広報担当者が状況を説明し、混乱が広がらないよう気を配っていた。
(垣内郁栄)
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