コンタクトセンターのコストを半分に、SAP
2003/10/2
SAPジャパンは顧客から電話を受けるコンタクトセンター向けのパッケージ製品「SAP インタラクションセンター」の出荷を開始したと発表した。同時に日本IBMなど14社と協業することを発表。SAPジャパン 代表取締役社長 藤井清孝氏はコンタクトセンター市場への本格参入を宣言した。
SAPジャパン 代表取締役社長 藤井清孝氏 |
コンタクトセンターはフリーダイヤルの開始やナンバーディスプレイサービスの導入で普及が進み、国内のオペレーターの総数は約30万人に上るという。コンタクトセンター向けシステムはでインターフェイスを柔軟に変更することが求められることが多く、全体の70%が手組み開発で行われている。しかし、手組み開発ではシステムを個別に作りこむためコストがかかったり、基幹システムとの連携が難しいという欠点がある、というのがSAPの考えだ。
SAPは手組み中心のコンタクトセンターにパッケージ製品を投入する。SAP インタラクションセンターはJavaを使って柔軟にインターフェイスを変更でき、また標準化された機能を採用することで基幹システムとの連携も容易にした。1画面当たりの開発工数は平均で5人日。インターフェイスを変更しても、コア部分のロジックには影響がないため、開発工数を抑えることができる。藤井氏は「コンタクトセンター向けシステムはオペレーターの使いやすさに軸足を置いてきたため手作りが多かった。SAP インタラクションセンターはその使いやすさを変えることなく、パッケージ製品の標準技術を導入し、コストを下げることができる」と説明した。
SAPはSAP インタラクションセンターの出荷に合わせて、専用のライセンス体系も導入する。コンタクトセンター向けシステムは、顧客の問い合わせに対して必要な情報を提供したり、逆に顧客の要望を蓄積し製品開発に生かすためのデータウェアハウスとの連携が不可欠。また、企業が多様な形式で保存している情報をオペレーターが検索できるようにポータルツールも欠かすことができない。SAPが新たに導入する専用ライセンスでは、SAP インタラクションセンターにデータウェアハウスの「SAP BW」とポータルの「SAP EP」をバンドル。一般的なコンタクトセンターが1席当たり70〜100万円かかるところを、データウェアハウス、ポータルをバンドルしたSAP インタラクションセンターでは30万円台で提供できるという。
SAP インタラクションセンターはすでに国内5社が先行的に導入済み。大手家電製造業では機器保守サービスセンターの700席、大手医療機器製造業でも機器保守サービスの100席などで利用しているという。SAPによると別に2003年度末までの採用を検討しているのが35社、2004年度末までの採用を検討している企業が14社あるという。
SAPによると、国内コンタクトセンター市場の70%は手組み開発のシステムが動いていて、パッケージ製品によるシステムは30%に過ぎない。SAPはSAP インタラクションセンターの投入で2006年度末にパッケージ製品によるシステムの比率を60%まで高めるのが目標だ。その際のSAP インタラクションセンターの売り上げは51億2000万円で、1万7000席を獲得できると試算している。
SAPはまた、SAP インタラクションセンターに合わせてパートナー企業14社との協業を発表した。SAP インタラクションセンターの導入、運用でパートナーを組むのが日本IBM、アダムネット、CSK、トランスコスモス、NEC、日本ヒューレット・パッカード、日本ユニシス。SAP インタラクションセンターに対して補完製品を提供するのが日本アスペクトコミュニケーションズ、沖電気工業、KDDI、ジャストシステム、野村総合研究所、NTT東日本、ジェネシス・ジャパンとなっている。
(垣内郁栄)
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SAPジャパンの発表資料
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