PC向けLinuxはWindowsと共存共栄、ターボリナックス

2003/10/3

 ターボリナックスはクライアントPC向けLinuxの新バージョン「Turbolinux 10 Desktop」を10月24日に発売すると発表した。ターボリナックス代表取締役社長の矢野広一氏は「クライアントPC向けとして“10D”の名で定着すればいいと思っている。10Dの開発コードネームは世界に誇れるサーキット場の“SUZUKA”とあえて付けた。これがターボリナックスが10Dにかけた思いを表わしている。意地でありプライドだ」と述べて、Turbolinux 10 Desktopにかける熱い思いを強調した。

ターボリナックス代表取締役社長の矢野広一氏。「クライアントLinuxの市場は2004年には10倍、2005年には100倍になる」と述べた

 Turbolinux 10 Desktopは家庭ユーザーや企業ユーザーに向けに、Windowsユーザーでも違和感なく利用できるよう開発されたLinux OS。ターボリナックスが最も注力したのは「High Windowsability」。つまりWindowsっぽいLinuxを作るというのが開発のコンセプトだ。インターフェイスやマウス操作、フォント、キーボードのショートカットをWindowsと共通にし、Windowsユーザーが戸惑うことなく利用できるようにした。ターボリナックスは、家庭ユーザー、企業ユーザーともすべてのPCをLinuxに切り替えることは少ないと判断し、日本語フォルダ名、ファイル名への対応や、LAN内のWindows PCとのファイル共有など、WindowsとLinuxを共存させる機能を搭載した。

 LinuxをクライアントPCとして利用するうえで弱点とされてきた日本語環境や印刷環境、サポートも強化した。日本語環境にはジャストシステムの「ATOK X for Linux」を採用。Windows版ATOKの辞書が利用できる。印刷環境では2000種類以上のインクジェット、レーザープリンタ用ドライバをバンドル。キヤノン製BJプリンタ用ドライバやエプソン製プリンタ用ドライバも収録した。ウィザードでプリンタを簡単に設定可能だという。サポートは、スタンダード製品の「Turbolinux 10 Desktop」が60日間、件数無制限のWebサイト、電子メールでのインストールサポートを受けることができる。ほかにバンドルソフトのサポートもある。基本機能だけを搭載した「Turbolinux 10 Desktop Basic」は30日間で3件までのWebサイト、電子メールのインストールサポートを用意している。

 Turbolinux 10 DesktopはLinuxカーネル2.6を採用。ACPI準拠のBIOSを搭載した東芝やソニー、NECなどのノートPCでサスペンド機能を利用できたり、USB2.0への対応、CPUスピードの動的コントロールを可能にした。IEEE802.11bの無線LANカードも利用できるようになった。

 価格はスタンダード製品のTurbolinux 10 Desktopが1万5800円。Turbolinux 10 Desktop Basicは3980円。Turbolinux 10 Desktopには、1台のPCでWindowsとLinuxを共存させるユーザー向けにハードディスクドライブのパーティションを変更するツール「Acronis PartitionExpert 2003」(製品版)をバンドル。サン・マイクロシステムズの最新オフィスソフト「StarSuite 7 for Linux」もインストールされている。BasicにはAcronis PartitionExpert 2003、StarSuite 7 for Linux、ATOK X for Linuxはバンドルされない。

 ターボリナックスの本社事業企画本部 プロダクトマネージャ 久保和広氏はクライアントPC向けLinuxについて、「オープンソースソフトに対する官公庁、自治体の関心の高まりや、中古リサイクルパソコンの再利用などを背景にして、市場が加速する」と指摘。「Turbolinux 10 Desktopは初年度に10万本の販売を目標としている」と述べた。

(垣内郁栄)

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