“Windowsっぽさ”を追求するターボリナックスのPC向けLinux
2003/8/20
ターボリナックスはクライアントPC向けLinuxの新バージョン「Turbolinux Desktop」(仮、開発名Suzuka)を10月に出荷すると発表した。サーバOSではなく、家庭やオフィスのPCにインストールして利用することを目的にしたクライアントOS。ターボリナックスの本社事業企画本部 プロダクトマネージャ 久保和広氏はクライアントPC向けLinuxについて、「現実的にWindowsは切り離せない。今のフェイズではWindowsとLinuxとを共存させるのがポイント」と製品の狙いを説明した。
ターボリナックスの本社事業企画本部 プロダクトマネージャ 久保和広氏 |
ターボリナックスはこれまでクライアントPC向けLinuxを「Turubolinux Workstation」の名称で販売してきたが、名称を変更し、コンシューマ向け製品として強く打ち出す考え。Turbolinux Desktopのコンセプトは、「High Windowsability」。つまり、「Windowsっぽさを高める」(久保氏)ということだ。Windowsユーザーが違和感なくLinuxを利用できるようにデスクトップのユーザーインターフェイスをWindowsに似せた。KDEがベースだが、キーボードのショートカットをWindowsと同じにし、「マイコンピュータ」や「マイドキュメント」などのアイコンも用意。Windowsにある「マイネットワーク」と同じ機能があり、ネットワークでつながったWindows PCとファイル共有ができる「Windowsネットワーク」機能も搭載した。
ユーザーインターフェイスや操作性だけでなく、アプリケーションでもWindowsとの互換性を高めた。オフィススイートとして、Microsoft Officeと互換性があるサン・マイクロシステムズの「StarSuite」を同梱。久保氏は「Linuxはビジネスで使えるクライアント用OSとして機が熟した」と述べた。また、Turbolinux Desktopは、RPMの依存関係を自動的に解消し、アプリケーションを適切にインストールできるツールとして「クイック・イン」を搭載。パーティション設定ツールも用意し、WindowsがプリインストールされたPCにLinuxをインストールし、起動するOSを切り替えることができるデュアルブートに対応できるようにした。ターボリナックスによると同社製品ユーザーの60%がWindowsとのデュアルブート環境でPCを利用しているという。
Turbolinux Desktopのデスクトップ画面。「マイコンピュータ」などのアイコンが並ぶ(クリックすると大きくなります) |
Turbolinux Desktopはカーネル2.6を採用。カーネル2.6は正式リリース前で安定性などを疑問視する声もある。クライアントPCで必要とされる機能に関しては、カーネル2.4と2.6の間で大きな差はないといわれるが、久保氏はカーネル2.6を採用した理由について、「マーケティング的なメッセージが強い」と説明した。つまり、他社の製品がカーネル2.4を採用しているのに対し、カーネル2.6を採用することで違いを出そうとしているのだ。また、ターボリナックス製品のバージョンアップは年に1度で、10月に発売するTurbolinux Desktopがカーネル2.4を採用すると、その後1年にわたって2.4を利用し続けることになる。その間に他社の製品がカーネル2.6を採用すると見劣りしてしまうと考えたようだ。
ターボリナックスの考えではTurbolinux Desktopのライバルとなるのは、8月末に発売されるLindowsOS。久保氏は「LindowsOSをけなすつもりはない」としながらも「ターボリナックスが国内で日本の環境に合わせた開発やサポートをしているのに対し、LindowsOSは海外」と指摘。パフォーマンスについても「Turbolinux DesktopはLindowsOS 日本語版に比べて、OSの起動で50秒、WebブラウザのMozillaの起動で6秒速い」と述べ、ライバル心をむき出しにした。
ターボリナックスは8月19日にパブリックベータ版を同社のWebサイトで公開。9月に価格やパッケージ内容を正式発表し、10月中に出荷する予定。Linuxのサーバ利用に関しては、低コストやセキュリティに注目した企業、自治体が強い関心を持っている。“Windowsっぽさ”を強調することで、この動きがクライアントPCに広がるか。Windowsに親しんだ企業ユーザーを取り込むには、加えてコストやサービス、機能での強力なアピールが重要になるだろう。
(垣内郁栄)
[関連リンク]
ターボリナックス
Turbolinux
Desktopのベータ版ダウンロードページ
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