チェック・ポイントがアプライアンスを出荷するのはなぜ?

2003/10/11

チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズの技術部長 卯城大士氏

 チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズは、企業の支社、支店などブランチオフィス向けのVPN/ファイウォールのアプライアンス「VPN-1 Edge」を11月に出荷すると発表した。チェック・ポイントの技術部長 卯城大士氏は「企業ネットワークの本社側がセキュアになっていてもブランチオフィスがセキュアでないと危険が残る」と説明。「VPN-1 Edgeはネットワークにつながったすべての要素をセキュアにし、エンド・ツー・エンドのセキュリティで企業ネットワーク全体を向上するという考えに基づく製品だ」と述べた。

 チェック・ポイントはVPN、ファイアウォールのサーバ用ソフトの販売が多く、OEMなどを除き、アプライアンスを本格的に出荷するのは初めて。卯城氏はアプライアンスを出荷する理由について、「ブランチオフィスでは専任のセキュリティ担当者が置かれることは少ない。初期設定が容易で、本社のセンターサーバで集中管理ができるアプライアンスがブランチオフィス向け製品として適していると判断した」と説明した。ノキアなどはチェック・ポイントのVPN/ファイアウォールソフトを組み込んだアプライアンスを出荷しているが、ブランチオフィス向けのアプライアンスはなく、競合することはないという。

 VPN-1 Edgeのラインアップは4製品。小規模のリモートオフィス向けには、低速なネットワークを利用しているユーザー向けの「S8」を用意。S8は8ユーザーまでPCを接続可能。ファイアウォールのスループットは22Mbps、VPNのスループットは3Mbpsとなっていて、家庭でのブロードバンド回線の利用などを想定している。価格は6万4000円。支店、支社でのリモートアクセスやサイト間VPN向けには「X16」「X32」「XU」の3製品がある。X16は16ユーザーに対応。ファイアウォールのスループットが80Mbps、VPNのスループットが20Mbps。価格は12万8000円。

チェック・ポイントが出荷するVPN/ファイアウォールアプライアンス「VPN-1 Edge」。サイズはVHSビデオテープとほぼ同じ

 X32は32ユーザーが利用できる。ファイアウォール、VPNのスループットはX16と同じ。価格は19万8000円。XUはユーザー数無制限で利用できるアプライアンス。ファイアウォールのスループットは150Mbps、VPNのスループットが30Mbpsとなっている。価格は32万円。

 VPN-1 Edgeの最大の特徴は管理性の高さだ。企業ネットワークですでにチェック・ポイントのファイアウォール/VPNソフトを導入している場合、「SmartCenter Pro」や「Provider-1」などチェックポイントの管理ツールを使って、ブランチオフィスなどネットワークの末端部にあるVPN-1 Edgeを管理可能。そのためブランチオフィスではVPN-1 Edgeの設定作業をする必要がない。チェック・ポイントによると、VPN-1 EdgeはWebベースの管理画面を使って、約5分のセッティングで利用が開始できるという。

 また、本社側で変更されたセキュリティ・ポリシーや、新しいセキュリティプログラムはVPN-1 Edgeがネットワークから自動でダウンロードし、適用する。卯城氏は「自動的な運用が可能」と説明し、企業の運用管理コストの削減効果を強調した。

(垣内郁栄)

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チェック・ポイントの発表資料

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