アプライアンスの“HERO”を目指すノキアとトレンドマイクロ
2003/6/25
ノキア・ジャパンとトレンドマイクロは、コンピュータウィルスやスパムメールをブロックする企業ネットワーク向けのアプライアンス「ノキア Message Protector SC6600」を開発、出荷開始したと発表した。トレンドマイクロが企業向けのセキュリティアプライアンスを開発するのは初めて。ノキアのグローバルなサポートやトレンドマイクロのアンチウイルス技術を強みに企業への売り込みを図る。
ノキアとトレンドマイクロが共同開発したアプライアンス「ノキア Message Protector SC6600」 |
SC6600は1000人以上規模の企業が対象のアプライアンス。ネットワークのファイアウォールと電子メールサーバの間に設置し、電子メールに添付されたウイルスが、ネットワーク内部に侵入することや、外部に送信されることを防ぐ。特徴はスタティスティカル・プロテクションと呼ぶ包括的な防御方法。トレンドマイクロがこれまで蓄積したウイルス研究などからウイルスやスパムメールの“振る舞い”を検知し、怪しい電子メールをブロックする。ノキアはこの技術を「HERO」(Heuristic Exploit Rejection Object)と名付け、特許申請を行っている。HEROは、パケットの振る舞いを監視するため、未知の新種ウイルスに対しても有効。事後対策が多かったこれまでのアンチウイルスに対して、SC6600は予防機能が強化されているという。シグネチャベースのウイルススキャン機能とも連携。ウイルスやスパムメールの振る舞いを学習することで、精度を高めていく。
SC6600は、Linuxをベースにセキュリティを強化し開発されたOS「IPSO-SX」を搭載。専用OSを載せることでパフォーマンスが向上したという。30KBの電子メールを、1時間で12万通処理できる。管理ツールとしては「ノキア Network Voyager」を採用。自動アップデートやシグネチャの自動テスト機能もあり、セキュリティ管理者の負担を軽減するという。価格は、1000ユーザーライセンスで588万4000円。
ノキア・インターネット・コミュニケーションズのジェフ・ラッツラフ氏(右)とトレンドマイクロの大三川彰彦氏 |
ノキア・インターネット・コミュニケーションズ アジア・パシフィック地域 マーケティング担当ディレクター ジェフ・ラッツラフ(Jeff Ratzlaff)氏は、「トレンドマイクロとは1年ほど前から共同開発してきた」と説明。「トレンドマイクロは、Best of Breedのコンテンツ・セキュリティベンダだ」と持ち上げた。トレンドマイクロの執行役員 日本担当 大三川彰彦氏は、「トレンドマイクロにはアンチウイルスやゲートウェイセキュリティ、コンテンツセキュリティの実績がある。ノキアにはセキュリティアプライアンスのノウハウや、充実したサポート体制がある」としたうえで、「トレンドマイクロはノキアとともにBest of Breedのソリューションを提供する」として、両者とも“Best of Breed”を強調した。
ノキアは1998年からチェック・ポイントのFireWall-1を搭載したVPN/ファイウォールアプライアンスを販売。グローバルで大きなシェアを獲得している。ノキアとトレンドマイクロは、中小規模や、より大規模な企業をターゲットにしたSC6600のファミリ製品の開発も検討。ノキアは、SC6600のファミリ製品を、VPN/ファイウォールアプライアンスに並ぶ事業の柱に育てることを目指す。
(垣内郁栄)
[関連リンク]
ノキア・ジャパンの発表資料
トレンドマイクロの発表資料
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