[Interview]
OpenViewはビジネス管理ツールを目指す
2003/10/15
日本ヒューレット・パッカード(以下HP)は、システム管理ツールとして知られるOpenViewを、企業のビジネスを管理するツールにまで発展させようとしている。
現在OpenViewは、ネットワークやサーバ、アプリケーションの状態など、いわゆるITの「リソース」を管理するツールとして使われているが、これをさらに、ビジネスプロセスやサプライチェーンといった、ビジネスを支える「サービス管理」へと拡張し、最終的にはそれをビジネスレイヤの管理へと押し上げていく戦略だ。
この戦略を実現するためには、サービスレベルの主要な実現技術となるWebサービスを扱えるようになることと、ITリソースの状態がサービスにどう影響し、そのサービスの死活がビジネスにどのような影響を与えるのか、という「ビジネスインパクト分析」が不可欠だ。米ヒューレット・パッカードでOpenViewのCTOを担当するジャンマーテン・ファンドンゲン(Jan-Maarten
Van Dongen)氏と、OpenViewのWebサービスに関するテクニカル・アーキテクトのジェイ・ヒラマズ(Jay Heremath)氏に今後の見通しを聞いた。
――最近、HPはWebサービス管理に関連してTalking Block社を買収したようだが。
米ヒューレット・パッカードのCTO ジャンマーテン・ファンドンゲン氏(左)と、テクニカル・アーキテクト ジェイ・ヒラマズ氏 |
ヒラマズ氏 その通りだ。Talking Blockは「Webサービスの管理」と「Webサービスによる管理」の両方の技術を備えていた。Webサービスの管理では、バージョニングやセキュリティ機能があり、Webサービスによる管理では、WebServices Management Framework(WSMF)を備えている。現在WSMFはOASISによる標準化の途上だが、すでにEAIベンダのTibcoはWSMFの実装を行っている。HPも実装を行った。おそらく来年1月にはOASISから標準としての仕様がリリースされるだろう。
――オラクルやIBMなどは、グリッド・コンピューティングや自律コンピューティングといった進化の過程で独自に管理ツールを用意しようとしている。
ヒラマズ氏 だからこそWSMFのような管理のためのインターフェイス標準が必要だ。理想的には、あらゆるITインフラにまたがるエンド・ツー・エンドの管理ツールが実現されるべきだ。現在HPではコードネーム「Nimbus」と呼ばれるプラットフォーム・マネジメント・フレームワークを準備している。HP-UXやLinuxなど、HPのプラットフォームラインナップすべてをカバーする予定だ。
いまアプリケーションの世界では、企業内のアプリケーションを統合するEAIの動きが目立っている。近い将来、このEAIと同じことが管理ツールで起こるだろう。すなわち、社内のネットワーク、OS、アプリケーション、サービスといった管理をすべて1つに統合したい、という動きだ。HPはこれに対応していく。
――そうしたリソースやサービスの管理を、ビジネスの管理に応用するには両者を関連づける必要がある。
ファンドンゲン氏 そのために「Business Impact Analysis Modeller」と呼ばれるツールを用意した。ITインフラの動作や障害がビジネスにどんな影響を与えるのか、その分析を行うためのツールだ。ビジネスをモデリングしたうえでITインフラが提供するサービスとビジュアルに関連付ける。もちろん、このツールを使いこなして行くにはビジネスにまで踏み込んだコンサルティングがカギになる。
ユーザーは、いまはシステム管理ツールを見ながらITインフラのどこにどのような問題があるか、という情報を得て、それにどう対応するかを判断している。しかし将来、管理ツールから得た情報で、それがビジネスにどのような影響があるかまでを含めて判断できるようになっているだろう。
(編集局 新野淳一)
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