「ユビキタスIDとオートIDは仲良し」坂村氏、村井氏が不仲否定
2003/12/12
ユビキタスIDセンター代表の坂村健氏(左)とオートIDラボジャパン代表の村井純氏 |
無線ICタグの研究開発を行っているユビキタスIDセンター(代表:坂村健氏)と、オートIDラボジャパン(代表:村井純氏)はお互いの技術を利用し合うための共同の実証実験を2004年に始めることを明らかにした。ユビキタスIDセンターとオートIDセンターは、ICタグの規格や利用方針をめぐって対立が伝えられてきたが、両代表は対立を明確に否定。共同で実証実験を行い、ICタグの技術革新やマーケット拡大を促進する。
両代表はT-Engineフォーラムと社団法人トロン協会が主催する「TRONSHOW2004」のセッション「ユビキタスIDセンターとオートIDセンターは仲良し」で共同実験を発表した。ユビキタスIDセンターの坂村氏は共同実験について、「それぞれの規格やデバイスをサポートできるようにする」と説明。オートIDラボの村井氏も「インターオペラビリティ(相互運用性)を高めたい。実証実験を行うことでマーケットにICタグが広がり、技術へのフィードバックも得られる」と述べた。今後、共同実験の具体的な内容を詰めるという。
ユビキタスIDとオートIDは、同じICタグの標準化を目指す団体として対立が伝えられてきた。だが、オートIDが流通やロジスティックスの効率化にテーマを絞りICタグを開発してきたのに対し、ユビキタスIDは日常のあらゆる物にICタグを付けて便利にしようというコンセプトで、対立に意味はないというのが坂村、村井両氏の考え。「細かく見るとミッションや考え方など違う点が多いのに、全部一緒と考えて、戦いにしようという見方があった」(坂村氏)という。
ICタグの規格や利用する周波数帯にも違いがあるが、「オートIDは米国の規格を基にスタートしたがグローバルスタンダードとしてそのまま世界に普及すると困る点が出てくるだろう。ローカルでの研究が重要」として、村井氏は国内利用に合わせ、技術に柔軟性を持たせる考えを強調した。坂村氏も「いまはICタグの規格などを政治的に決着する段階ではない。技術的な実証を十分にしないと後で困ることになる」として、坂村氏が教授を務める東京大学と、村井氏が教授を務める慶応大学、オートIDラボが置かれる米マサチューセッツ工科大学との研究交流をすべきとの考えを示した。
欧米企業が主導するオートIDセンターは今年10月末に名称をEPCグローバルに変更し、それまでの開発成果を譲渡。ICタグで利用する流通コードの標準化などに力を入れる方針を打ち出した。オートIDセンターの研究機関は、オートIDラボの名称で残り、慶応大学をはじめ、世界6カ所で研究に専念している。
(編集局 垣内郁栄)
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