MS、日本の大学に初めてWindowsのソースコードを開示

2003/12/19

東京工業大学 柴山悦哉教授(左)、東京大学大学院 米澤明憲教授、マイクロソフト 執行役員 東貴彦氏(右)

 マイクロソフトは12月18日、日本国内で初めて、大学に対する「シェアード ソース イニシアティブ(SII)」の適用を行うと発表した。対象は、慶應義塾大学、東京工業大学、東京大学、東京理科大学、筑波大学、北陸先端科学技術大学院大学の6大学で、これらの大学は、文部科学省の補助金によるセキュリティ技術の研究を共同で行っている。契約交渉はこれから。どの程度までソースコードが開示されるか、など具体的な契約内容については、明らかになっていない。契約は、6大学と米マイクロソフトの基礎研究所であるマイクロソフトリサーチ(MSR)が直接結ぶ。契約年数は1年。同研究プロジェクトに、MSRから技術的な支援や人材提供を行うことも予定している。

 今回、MSRとアカデミック分野向け「マイクロソフト ソース コード アグリーメント」を締結する研究プロジェクトは、正式には、『文部科学省 科学研究補助金 特定領域研究「社会基盤としてのセキュアコンピューティングの実現方式の研究」』という非常に長い名称のプロジェクトであるが、あまりにも長いため、略して「安全な情報基盤」プロジェクトという名称で呼ばれている。研究対象は、簡単にいえば、「ソフトウェアシステムの安全保証」(東京大学大学院 米澤明憲教授)。悪意のあるプログラムの対処方法を研究するのである。各大学の連携研究による成果としてはセキュアなメールシステム「AnZen」メールなるシステムを構築、この成果をはじめとした研究内容を、Windows環境で試すことが、ソースコード開示契約締結の最大の目的となる。

 マイクロソフトによると、アカデミック向けのソースコード開示プログラムは1991年から開始しており、全世界で125を超える大学が契約を締結しているという。今回、初めて日本の大学が同プログラムの“恩恵”を受けられることになった。マイクロソフトの執行役員 東貴彦氏は、今回のマイクロソフトの動きを「社会貢献活動の一環(シチズンシップの一環)」と位置付け、「マイクロソフトが日本の社会に根付くための重要な活動」と話した。

(編集局 谷古宇浩司)

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