インテル絶好調の不安、プロセッサ依存から脱皮できるか?
2004/1/16
米インテルは2003年度(2002年12月28-2003年12月27日)の決算で、前年度比13%増の301億ドルの売り上げと、81%増の56億ドルの純利益を上げたと発表した。特に2003年度第4四半期の売り上げは、過去最高の87億4000万ドルだった。この絶好調の売り上げの約86%、利益の100%が、マイクロプロセッサ、チップセット、マザーボードからなるインテルアーキテクチャ(IA)事業によって支えられいる。同社は通信関連や組み込みコントローラといった分野へも進出しているが、決算をみるかぎりこの1年のすべての四半期でIA事業以外は赤字になっている。
決算を発表するインテル株式会社 共同社長のグレッグ・ピアーソン氏(左)、吉田和正氏 |
同社は2004年の取り組みとして、3つの重点項目を挙げた。「シリコンのリーダーシップ」「融合アーキテクチャ」「ワールドワイドなビジネスチャンスの追及」だ。
シリコンのリーダーシップでは、最先端の製造技術によって実現された300mmウエハ/90nmプロセスをさらに拡大、融合アーキテクチャでは、通信や家電とコンピュータとを融合させていく。ワールドワイドなビジネスチャンスの追求では、企業のセキュリティ向上や生産性向上などを目指したPCの進化、そしてベンチャーキャピタルによる投資などに積極的に取り組むという。特に家電とコンピュータとの融合については「日本には家電メーカーが多く、インテルジャパンの役割は大きいと考えている」(インテル株式会社 共同社長 吉田和正氏)。
先週米国で行われた「2004 International CES」で、同社はプロジェクション型薄型テレビ用の半導体を発表し、急成長しているデジタル家電分野へ参入する意向を明らかにした。また、IA事業以外の赤字について同社は、「昨年と比べて数字は改善してきている」(インテル株式会社 共同社長 グレッグ・ピアーソン[Greg Pearson ]氏)と、赤字ながらも成長しているという姿勢を保ち続けている。同社の強みは積極的な技術開発への投資によって作り出す差別化だ。IA以外の事業でも同様の方式で成功を重ね、黒字転換できるかどうか。絶好調の中で同社が抱えている不安が、今後の成長に向けたバネだともいえる。
(編集局 新野淳一)
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