Curlの弱点を暗号で補う開発・実行環境、NTTソフト
2004/1/21
NTTソフトウェアは米カールと提携し、Webアプリケーション開発言語「Curl」にNTTソフトウェアの暗号エンジン「CipherCraft」(サイファークラフト)を組み込み、セキュリティを強化したシステム開発・実行環境「CipherCraft/Curl」(サイファークラフト/カール)を共同で開発、2月2日に発売すると発表した。NTTソフトウェア 代表取締役社長 鈴木滋彦氏は「リッチクライアント型のWebアプリケーションを開発できるとしてCurlには注目してきた。CipherCraftを組み込むことで、システムの信頼性が向上する」と述べた。
米カールのアジア・パシフィックビジネス開発担当副社長 クリス・レーザー氏 |
Curlは米マサチューセッツ工科大学で開発されたWebアプリケーション開発言語。アプリケーションの処理をクライアント側で主に行い、サーバとの通信を最低限にすることで高速処理を可能にした。グラフィックス機能が豊富で操作性が高いインターフェイスを構築可能。描画、処理、ハンドリングのすべてを単一言語で実現でき、開発・保守が容易という点などにNTTソフトウェアは注目した。カールのアジア・パシフィックビジネス開発担当副社長 クリス・レーザー(Chris Lesar)氏は「何年も向上が見られないWebの使い勝手をよくする言語だ」とCurlを説明した。NTTソフトウェアのモバイル&セキュリティ・ソリューション事業グループ セキュリティ事業ユニット長 倉田冬彦氏はCurlについて、「オブジェクト指向に慣れた少数精鋭のエンジニアが開発すれば、Curlの開発生産性はJava言語の数倍になる」と述べた。
一方、Curlに組み込むCipherCraftは、NTTと三菱電機が共同開発した国産暗号「Camellia」と「PSEC-KEM」に対応するNTTソフトウェアの暗号エンジン。RSAやT-DES、AES、楕円暗号など多くの暗号アルゴリズムをサポートする。NTTソフトウェアはCipherCraftをベースに暗号通信用パッケージや電子メール暗号化パッケージなどを商品化している。
NTTソフトウェアが示した「Web系言語の比較」。Curlはセキュリティに弱点があり、CipherCraftを組み込むことですべての要件を満たすことを示している(クリックで画像拡大) |
倉田氏によると、Curlは高い開発生産性やグラフィックス機能があるもののセキュリティ面が弱点とされていた。CipherCraftを組み込むことで「高生産性・高セキュリティなアプリケーションが構築可能になる」という。CurlにCipherCraftを組み込んだCipherCraft/Curlが対応するのは、通信データの暗号化・署名、クライアントデータの暗号化、アクセス制御、PKI連携、クライアント認証など。Webアプリケーションを開発する際に、これらのセキュリティ機能を活用できる。
NTTソフトウェアはCipherCraft/Curlを電子政府・自治体向けや業界インフラ構築向けに売り込む考え。2004年度に1億円、2005年度に3億円の販売を目標としている。
(編集局 垣内郁栄)
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