本気と書いてマジと読む? MSが中小企業向けサーバへ熱意
2004/1/29
マイクロソフトは中小規模企業向けサーバ製品「Microsoft Windows Small Business Server 2003 日本語版」(以下、SBS 2003)の販売を2月2日に開始すると発表した。SBSの過去のバージョンは、マイクロソフトが期待していたほどの成功を収めたとはいえなかった。マイクロソフト 常務執行役 眞柄泰利氏は「過去はマイクロソフトが勝手にやっているだけだった。この3年で10万社の中小規模企業とコンタクトし、マイクロソフトも幾分は賢くなった。今回は本気です」と述べ、パートナーと協力し販売を推進する考えを強調した。
マイクロソフト 常務執行役 眞柄泰利氏 |
SBS 2003はWindows Server 2003をベースにセキュアなインターネット接続、プリンタ共有、データバックアップ、「Windows SharePoint Services」によるポータル構築とファイル共有などの機能を備えたサーバ製品。Microsoft Exchange Server 2003の技術が含まれ、電子メールやスケジュール管理の機能もある。専任の担当者がいない企業でも活用できるよう簡単にセットアップできるウィザードや外部からのリモート管理が可能。オプションでグループウェアツール「GroupBoardワークプレース」も用意している。
SBS 2003はStandard EditionとPremium Editionの2つのエディションを用意。Standard Editionは、Exchange Server 2003の機能を利用可能。Premium Editionは加えて、データベースのMicrosoft SQL Server 2000、ファイアウォールのMicrosoft Internet Security and Acceleration Server (ISA Server) 2000の機能が利用できる。
マイクロソフトが示した参考価格は、5CAL付きのStandard Editionが11万円、同じく5CAL付きPremium Editionが27万4000円。マイクロソフトは上記製品にオプションのGroupBoardワークプレースを付けて割安で販売する「スタートアップキャンペーン」を2004年末まで実施する。定価2万9800円のGroupBoardワークプレースを付けたStandard Editionを11万9800円、Premium Editionを28万3800円で販売。マイクロソフト 代表執行役 社長 マイケル・ローディング(Michael Rawding)氏はSBS 2003について「スタンダードのサーバは中小規模企業には複雑すぎる。SBS 2003ではインターネットやコラボレーション、コミュニケーションに力を入れた。インストール、メンテナンスも簡単にした」と説明した。
マイクロソフト 代表執行役 社長 マイケル・ローディング氏 |
マイクロソフトはSBS 2003の販売でパートナーとの協業を重視する。NECや富士通など8社がSBS 2003を搭載したサーバを同時に発表。特にデル、ヒューレット・パッカードは中小規模企業向けに8万円台のエントリサーバを発表するなど中小規模企業の取り込みに必死になっている。コンピュータ・アソシエイツとベリタスソフトウェアがSBS 2003向けのバックアップ/リカバリソフト、トレンドマイクロが中小規模企業向けにアンチウイルスソフトをパッケージした製品を用意するなど、ソフトベンダもマイクロソフトに足並みをそろえる。
さらにマイクロソフトはインテル、バッファローと協力し、中小規模企業を対象に無線LAN導入のキャンペーンを行う。IT化されていない中小規模企業の獲得はマイクロソフトだけでなく、すべてのハード、ソフトベンダ、サービスプロバイダの悲願といえるだけに、各社はマイクロソフトの波に乗っかろうとする思いで一杯。中小規模企業向けとしては低価格なLinuxサーバの選択肢もあると考えられるが、「総合するとこの分野はWindowsが中核になると確信している」(日本HP 執行役員 古谷幹則氏)と持ち上げるなど、各社はマイクロソフトを全面的にバックアップする考えだ。
だが、SBS拡販の過去の経験からか、マイクロソフトはSBS 2003の普及に慎重な見方をしている。Exchange Serverを搭載するなどコミュニケーション、コラボレーション系の機能を充実させたSBS 2003だが、眞柄氏は、給与計算など基幹系アプリケーションを稼働させるプラットフォームとしてSBS 2003の普及が進むと予測。その後にグループウェアなどのコラボレーション、コミュニケーションのアプリケーションが利用されると見ている。1〜2年後に「Windows Server+Exchange Serverで中小規模企業市場の30%程度を獲得する」ことが目標だ。
(編集局 垣内郁栄)
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