[NET&COM 2004開催]
こんなに使えるIP電話! UFJ銀行の場合
2004/2/6
UFJ銀行 システム企画部長 村林聡氏 |
IP電話は、従来の電話に対してコスト削減効果があるとして注目を集めている。昨年のイベント「NETWORLD + INTEROP 2003 Tokyo」では、IP電話を制御するプロトコルであるSIPの互換性を検証するなど、実用性が大いに高まった点が話題だった。それから半年後の現在、早くも話題の中心は互換性やコストから、IP電話を応用したアプリケーションへと進んでいるようだ。幕張メッセで開催中のイベント「NET&COM 2004」(主催:日経BP社)で、IP電話に関連した話題を追った。
基調講演に登場したのは、全社で4万台ものIP電話の導入計画を持つUFJ銀行のシステム企画部長 村林聡氏。UFJ銀行では現在、営業店舗も含めた全社のブロードバンド化を進めている最中であり、ブロードバンド上のコンテンツの1つとしてIP電話があると位置付けている。現在は営業店や計算センター間の接続にATMや専用線を利用しているが、今後は広域イーサネットなどのTCP/IPベースのネットワークに順次切り替えていくという。これにより、営業店舗へは6〜10Mbps、計算センター内のLANはギガビットイーサネット、計算センター間の中継は622MBpsの高速化が実現する予定だ。
村林氏はIP電話の導入理由として、同銀行内に15年の耐用年数を過ぎたPBXが多数存在しており、これを更改するよりもIP電話を導入した方が「2007年度には1億円のコスト削減効果がでる」と試算したからだとした。「PBXの更改では、いつまでたってもコスト削減効果はでない」(村林氏)。IP電話の導入でコスト削減できるということを、あらためて裏付けた格好だ。
しかし、コスト削減だけが導入の理由ではない。「(IP電話の導入は)単にコスト削減だけでなく、ノーツなどのグループウェアと連携したアプリケーションなど、音声とデータの融合が可能になることで、業務の改善と効率化を目指したい」と、より前向きな目的でIP電話を導入したと発言。さらに、ブロードバンド化によって営業店舗への音声サポートや、営業チャンネルの統合といった、顧客へのサービス改善や新サービスの投入にも取り組んでいくとした。
展示会場に目を向けると、IP電話の技術であるSIP、VoIPを利用した新しいアプリケーションが人気を集めていた。それが日立インフォメーションテクノロジーの「SIP:Office」だ。同社のSIPサーバを導入し、SIP:OfficeをPC上に導入すると、PC上でIP電話機能が使えるようになるだけでなく、ノーツのアドレス帳やWebブラウザの内線番号をクリックするだけで内線電話をかける機能や、留守中に自動的に電話を転送するなど、音声系とデータ系を統合したアプリケーションを体験することができる。
SIPサーバ構築用のソフトウェアを出品していたのはスカイウェイブ。SIPサーバがアプライアンスとしてではなくソフトウェアとして製品化されることケースは珍しい。Windows対応のSkyIP-PBXにSIP対応端末を用意すれば、IP電話システムができあがる。音声案内や留守電、転送機能などの設定はWebブラウザから可能など、使い勝手も通常のWindowsアプリケーション並だが、数万ユーザーをサポートする本格的な性能を持つという。販売はサンテレホンから行われる。サンテレホンでは同製品を利用したシステムインテグレーション案件も手がけるという。
日立コミュニケーションテクノロジーは、自社内でSIPサーバを立ち上げるのと同等の柔軟性を備えたIPセントレックスサービスをアピール。IPセントレックスとは、PBX機能を持つSIPサーバの運用を外部にアウトソースすることで、安価にIP電話を運用するサービスだが、外部に運用を任せるため、自社でSIPサーバを運用することと比べると、新しいサービスの追加や柔軟な設定などの点で劣るケースがある。同社が今年立ち上げたIPセントレックスサービスでは、同社のセンター内に企業ごとに独立したSIPサーバを用意するため、それぞれにカスタマイズ可能な柔軟性を維持したまま、運用をアウトソースできるという。
(編集局 新野淳一)
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