ATAディスクでコスト3分の1、EMCの新ストレージ

2003/3/27

 EMCジャパンは一般のPCで利用されているATAディスクドライブと、ファイバチャネルのディスクドライブを同時に搭載できる新しいストレージシステム「ATA対応CLARiX」を発表した。ファイバチャネルディスクに比べて価格が安いATAディスクを使うことで、MB当たりのコストを削減。企業システムのバックアップ/リカバリ用途を目的に、テープドライブのリプレース需要を狙う。

 ATA対応CLARiXの特徴は、従来のCLARiXの筐体にファイバチャネルディスクと、ATAディスクを混在できること。搭載するのは250GBのATAディスク。ファイバチャネルディスクとATAディスクは、ブリッジカードで接続され、入出力はファイバチャネルのインターフェイスであるFC-ALで行う。ストレージ・プロセッサからはATAディスクもファイバチャネルディスクと同様に認識される。そのためEMCのストレージ管理ソフトなどをそのまま利用可能だ。ATA対応のCLARiXはCX400とCX600。ATA対応CLARiXで10TBのシステムを組んだ場合の価格は3000万円となる。

 ATA対応CLARiXがターゲットとするのは企業のバックアップ/リストアの用途だ。EMCによると、現在バックアップ/リストアで一般的なテープドライブに対するATAディスクの優位性は、使い勝手のよさ。ファイバチャネルディスクとATAディスクを同じ筐体に収めることで、企業システムのデータを即座にバックアップしたり、リストアすることができる。EMCによると、100GBのデータをバックアップする場合、ATAディスクはテープドライブに比べて33%短い時間で終了し、10GB(3ファイル)のリストアでは、ATAディスクはテープに比べて80%の短縮が可能だという。

EMCジャパンのマーケティング本部 プログラム・マネージメント部 プログラム・マネージャーの雨堤政昭氏

 ATAディスクは、価格面でもファイバチャネルディスクに対して優位性がある。EMCジャパンのマーケティング本部 本部長代理 宮治彦氏によると、「ATAディスクのMB当たりのコストはファイバチャネルディスクの3分の1」と説明。一方で、テープに対するATAディスクの価格は、10TBで1.4倍となっている。EMCジャパンのマーケティング本部 プログラム・マネージメント部 プログラム・マネージャーの雨堤政昭氏は、ATA対応CLARiXについて「テープよりも高いサービスレベル、ファイバチャネルディスクよりも安いコストを実現する」とアピールしている。

 ただ、ATAディスクは低価格だが信頼性の面でファイバチャネルディスクに劣るといわれている。そのため宮氏は「ATA対応CLARiXはアクセスの多いファイル共有などではなく、あくまでもバックアップ、アーカイビング用のストレージとして利用するよう顧客に勧める」としている。

 米国では昨年の企業会計不信から、企業に対して電子メールのデータを保存するように義務付けられた。国内でも同様の動きがある。そのため企業データのバックアップ需要が今後高まる可能性は高い。EMCのアーカイブ用ストレージシステムのCenteraは昨年の第4四半期に1PB(ペタバイト)分の出荷があったという。その大部分は電子メールデータのアーカイブ用途で、宮氏は「特に米国で電子メールアーカイブの関心が高まっている」と述べた。

(垣内郁栄)

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