PtoPユーザーにペナルティを、カスピアンネットワークス

2004/2/24

カスピアンのネットワーク アーキテクト リアド・ハルタニ氏

 米ネットワーク機器ベンダのカスピアンネットワークスは、ネットワークトラフィックをフローごとに解析できる同社の技術を活用し、ファイル交換ツールなどのPtoPのトラフィックを制御する技術を開発し、国内のサービスプロバイダなどに展開すると2月23日発表した。輻輳(ふくそう)の原因になることがあるPtoPのトラフィックだけを低下させ、ほかのトラフィックが影響を受けないようにする。

 PtoPの制御は、カスピアンが開発し、同社のルータに搭載している「フローステート技術」を活用する。フローステート技術はネットワークを流れるトラフィックに対して、IPフローベースの解析、管理が可能。IPフローに格納されている転送速度、フローの持続時間、バイト数、QoSの要件などを確認し、特定のアプリケーションごとにトラフィックを制御できる。音声やビデオなどIPネットワークを使ったリアルタイム性が高いアプリケーションに有効としていて、カスピアンのネットワーク アーキテクト リアド・ハルタニ(Riad Hartani)氏は「インテリジェントなトラフィック管理が可能になり、IPベースでATMと同様のサービスを活用できるようにする」と説明した。

カスピアンのフローステート・ルータ「Apeiro」

 カスピアンが開発したPtoPツールの制御技術は、PtoPツール特有のフロー情報をあらかじめルータに登録。登録したフロー情報がトラフィックを流れるとルータが検知し、PtoPツールに割り当てる帯域を狭くしたり、遮断することで、ほかのトラフィックが影響を受けないようにする。カスピアンは現在、サービスプロバイダなどとPtoPツールの研究を行っていて、PtoPツールごとの典型的なフローの転送速度、バイト数、持続時間などを確認している。PtoPツールの中にはトラフィックを暗号化し通信する種類もあるが、事前に確認することで対応できるという。ハルタニ氏は「PtoPトラフィックへのペナルティをほかのアプリケーションのトラフィックよりも高めることができる」と述べ、インテリジェントなトラフィック制御が可能であることを強調した。

 カスピアンはフローステート技術を使ってIPベースのビデオ会議システムも開発。トラフィックの優先制御を行うことで、「ビデオ会議、IP電話、データサービスについて粒度が細かいトラフィック制御を可能にする」(ハルタニ氏)という。ハルタニ氏によると、数カ月後にも国内の複数通信事業者が同技術を採用し、ビデオ会議のサービスを開始するという。

(編集局 垣内郁栄)

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米カスピアンネットワークス

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