業界初のトータルプロビジョニングができること、NEC

2004/3/18

 NECはサーバやネットワーク、アプリケーションなどを仮想化して障害時などに別のシステムに自動でITリソースを割り当てるプロビジョニング管理ソフト「WebSAM ProvisioningMaster」などを発表し、同社のミドルウェアファミリ「VALUMOウェア」の自律コンピューティング機能を強化した、と3月17日発表した。プロビジョニングについてはIBMやサン・マイクロシステムズなども取り組んでいるが、「サーバ、ネットワーク、ストレージ、アプリケーションを一式としてトータルでプロビジョニングするのは業界初」(NEC システムソフトウェア事業本部長 寺尾実氏)と強調している。

 NEC 執行役員 伊久美功一氏は同社が展開する自律コンピューティングを「一言でいうと利用状況に合わせてシステムをダイナミック、自動的に融通すること」と説明。サーバだけでなく、ネットワークやストレージ、システム全体についてポリシーベースの自律化を実現することが重要と述べた。

NEC システムソフトウェア事業本部長 寺尾実氏

 NECが発表したWebSAM ProvisioningMasterは、サーバの障害時やピーク時に、プールしておいた別のサーバに作業を分散させることができる。作業分散に合わせてネットワークやストレージの設定を自動で変更。OSやミドルウェア、業務アプリケーションも、移し替えたサーバで稼働できるように設定する。これらの作業を自動で行うため「人手による誤りを防ぐことができる」(寺尾氏)。

 NECはシステムの障害やパフォーマンス低下を事前に検知する自律運用管理ソフト「WebSAM ASManager」も発表した。WebSAM ASManagerはシステムの過去の傾向を分析し、リソース不足になる時期を予測。計画的なリソースの割り当てを可能にする。ミドルウェアにWebSAM ASManagerのプラグインをインストールし、常時監視する。また、NECは過去の障害情報や復旧手順をナレッジとして蓄積し、障害発生時に迅速な復旧処理を行えるようにする統合運用管理ソフト「WebSAM MCOperations」に、オラクルデータベースに関する障害情報、復旧手順を追加し、ナレッジを充実させた。

 WebSAM ProvisioningMasterは、OS、ミドルウェアのインストール、設定を自律的に行う「WebSAM ProvisioningMaster PF」が4月21日出荷で920万円から。業務アプリケーションのインストールを行う「同 AP」が6月末出荷で287万円から。WebSAM ASManagerが4月21日出荷で115万円。WebSAM MCOperationsが4月21日出荷で172万円からとなっている。今後3年間で合わせて600システムの販売が目標。

 “業界初のトータルプロビジョニング”を強調するNECだが、WebSAM ProvisioningMasterが出荷当初に対応するのは、NEC製サーバのExpress100、400、NX7700、NX7000。ネットワークスイッチがシスコ製品、NECのIP8800、ロードバランサがF5製BIG-IP、NECのSS8000、ストレージがNECのiStorage Sシリーズとなっている。対応するOSはWindows 2000 Server、Windows Server 2003(IA-32)、HP-UX(PA-RISC、IPF)、ミドルウェアはWebLogicのほかはWebOTX、MCOperations、MCOne、ASManager、SystemManagerとNEC製が中心。一般的な企業システムで普通となっているヘテロジニアス(異機種混在)環境で利用するには心細い状況だ。NECは「まずはNEC製品から対応したが、今後は対応するハード、ソフトを増やす」としている。

(編集局 垣内郁栄)

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NECの発表資料

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