ITバブルの崩壊を乗り越え、辿り着いたのは……、JEITA
2004/3/25
社団法人電子情報技術産業協会(JEITA) 会長 佐々木元氏 |
エレクトロニクス産業の主役がパソコンだったのは1990年代のこと。21世紀最初の10年に主役の座に踊り出たのは「情報家電/デジタル家電」であった。
2003年5月30日、社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)会長に就任したNEC代表取締役会長 佐々木元氏は2003年のキーワードは何かと記者に聞かれ「Digital
Everywhere」と答えた。つまり、「情報家電の分野で、日本は強みを持っており、それを生かして経済を活性化させていきたい」と。
JEITAが発表した2004年1〜2月の民生用電子機器国内出荷統計をみるとPDPの出荷台数は前年比141.9%で、そのうちBSデジタルPDPは159.1%だった。液晶カラーテレビは同158.6%、そのうち10型以上となると187.5%である。DVDビデオの録画再生機は183.9%、CSアンテナは369.6%である。いずれも最盛期のPCを思わせる絶好調な数字といえる。
一方、PCの総出荷台数(輸入+輸出)は2003年第3四半期(10月〜12月)だけでみても、前年比107%とぎりぎり横ばいを維持した状態。金額ベースでみると単価の下落傾向が進んでいることから、94%と厳しい。集計時期の違いなど単純に比較することはできないが、それでもデジタル家電とPCの市場における勢いの違いを感じることはできる。佐々木会長は「デジタル家電の好調ぶりは2004年を通じてさらに加速していくのではないか」と予測する。アテネオリンピックの開催、2003年12月に開始された地上デジタル放送など、この予測を補足するデータは豊富である。
JEITAの定例会見で記者から挙がる質問の内容も1990年代(特に後半か)と比較するとかなり違ってきている。以前はPCの出荷台数と出荷金額の前年比統計に熱心だった経済紙の記者やIT専門誌の編集記者が発する質問は、デジタル家電絡みに集中している昨今である。
今のエレクトロニクス業界には好業績を上げられる下地ができ始めている。しかし、不況時に騒がれた国内大手電機各社の「構造改革」はどこまで効を奏したのか。現在の景気回復基調のもとではすでに忘れ去られつつある雰囲気が漂っているようだ。佐々木会長は「各社とも、それなりに構造改革の成果を示しつつあるのではないか」とし、JEITAとして加盟企業それぞれの改革状況について明らかなコメントを発することはしなかった。
なお、佐々木元JEITA会長の任期は2004年4月で切れる。
(編集局 谷古宇浩司)
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社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)
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