富士通のInterstage最新版は、世界へ飛躍する挑戦状か?
2002/6/7
富士通は6月6日、J2EEに対応したアプリケーションサーバや開発環境を中心としたインターネット基盤ソフトウェア群「Interstage」の最新バージョン、「Interstage V5」を発表した。同日より販売を開始する。
富士通のミドルウェアのブランド強化を発表する同社 ソフトウェア事業本部 本部長の棚倉由行氏 |
製品発表前に富士通 ソフトウェア事業本部 本部長 棚倉由行氏が、ソフトウェアのブランド強化についての発表を行った。同社が手がけるミドルウェア商品のブランドロゴやカラーを統一し、ブランドの強化を図るという。ブランドを統一するミドルウェアは、Interstageのほか、統合運用管理ソフトウェアの「Systemwalker」、それにデータベース&ビジネスインテリジェンスソフトウェアの「symfoware」の3製品。
「富士通のミドルウェアのブランド強化には、3つのキーワードがある。まずは汎用機などで培った“技術力”、それをベースにお客さまにどういうソリューションを提供していくか、つまりお客さまに対して“適切”かどうか、そしてサポートを含め、お客さまに長期にわたって“安心”を提供することの3つ」(棚倉氏)。
なぜこの時期にブランド力を強化するのかについて棚倉氏は、「3製品はいずれも高い認知、シェアを誇るが、(富士通)グループ内での利用が高いのは事実。今後は、グループ外にグローバル展開するためにも、ここでブランドを統一しておく必要があると感じた」と述べる。
インターネット基盤ソフトウェア群の最新バージョンとなるInterstage V5では、機能ごとに「Foundation」「Integration」、それに「Development Suite」の3つの製品群に分けられた。3つの機能の特徴は、次のとおり。
Foundation
ネットワーク、ストレージ、プラットフォームを活用し、Webサービスシステムを構築するための基盤ソフトウェア機能群。分散配置されたWebサービスへの認証サービス(シングルサインオン機能)、SOAP
1.2、WSDL、ebXML
2.0などのWebサービス連携機能の提供、SSL 3.0、GPKIなどのセキュリティ機能の提供。
Integration
分散するデータ、コンテンツ、ビジネスプロセスを統合する機能群。企業ポータル(EIP)の機能、さまざまな場所で管理され、異なる形式のコンテンツなどの統合管理、業務システムやERPシステム、取引先とのプロセス統合などの実現。
Development Suite
アプリケーションの開発性と保守性を向上する機能群。多様なWebアプリケーションの開発が可能なJava統合開発環境。汎用アプリケーションフレームワーク(Apcoordinator)の搭載、統一モデリング言語(UML)への対応。
なお、J2EEへの対応に加え、.NETにもInterstageを対応させる予定で、「Visual Studio .NET」で開発されたアプリケーションや既存のVisual Basic資産を有効に活用できるようになるとする。
富士通 ソフトウェア事業本部 本部長代理 藤田眞彦氏は、「Interstage」をもっと世界に売っていきたいという |
新製品のInterstage V5での説明で同社ソフトウェア事業本部 本部長代理 藤田眞彦氏が強調していたのは、世界標準へもさまざまな形で貢献しているということ、そして世界のアプリケーションサーバなどにも負けない性能を誇ることだ。
世界標準への貢献の具体的な例として藤田氏が挙げたのは、W3C、UDDI、OMG、RosettaNet、OASISといった標準化活動への参加、WS-I、DOPG(分散オブジェクト推進協議会)、XMLコンソーシアム、JEITAといった実用性検証への参加など。Interstageにもそうした活動などで裏打ちされた技術が投入されている。例えば、最新のJ2EE 1.3のほか、SOAP 1.2、UDDI 2.0/4J、RosettaNet RNIF 1.1/2.0、ebXML 2.0、UML/XMI、IPv6などへの対応だ。
性能面ではオーストラリアの調査会社CSIRO(The Coomonwealth Scientific and Industrial Research Organisation)による数値によれば、1秒間当たりのトランザクション数は、IBMの「WebSphere」や「WebLogic」などよりもよい結果となっている。
導入実績としては、国内を中心に2000年末に5000本、2001年度に2万4000本を誇っているが、2002年度には3万1000本(すべてサーバライセンス数)を予定しているという。今後のマーケットの中で特に力を入れたいとしているものの1つが海外マーケットだ。
藤田氏はその点について、「海外利用のうち5%は日本企業がグローバル展開する中で導入したものだが、残り10%は純粋な外国企業。主に韓国、オーストラリア、米国、ブラジルなどで実績がある。韓国のある銀行に導入された例では、ほかのアプリケーションサーバは停止したが、当社の製品は停止せず、稼働し続けていると高い評価を得た」という。また、米国では製品出荷前に事前検証などで評価した結果、そのまま導入する企業も現れているとする。
日本では多くの導入実績と高いシェアを誇る(2001年8月ガートナーの調査結果)富士通のInterstage。同社の製品とライバル製品との違いは、最新技術を安定して提供できることだという。同社がブランド強化を図り、グローバル展開をする中で世界のアプリケーションサーバの巨像、IBMとBEAに対抗できるのだろうか? 今後、同社がどのようなミドルウェアのグローバル戦略を構築し、実行していくのかに注目したい。
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富士通の発表資料
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