実用化が進むXBRL、導入企業のメリットは?
2004/3/25
中央青山監査法人の公認会計士 池田太郎氏は日本ユニシスが3月24日に開催した「XBRLソリューションセミナー」で講演し、XBRLについて「東証でXBRLフォーマットのデータの受け付けが始まるなど、まさに実用化の時代に入った」と述べ、企業が連結ベースで経営情報を素早く、的確に発信するためにはXBRLが不可欠との考えを示した。
XBRLは企業の財務情報を公開するために開発されたXMLベースの標準データフォーマット。企業が決算書などをXBRLのフォーマットで提出することで、証券会社や銀行、税務当局などが情報を再入力することなく、さまざまな目的に利用できる。
池田氏はXBRLが求められる背景として、米国での企業の会計不信を受けて、企業の透明性の確保と国際比較可能性の確保が重要になっている点を説明した。米国ではエンロン事件の反省として大手会計事務所が新しい企業レポーティングの仕組みを提案していて、そのデータフォーマットとしてXBRLが採用されている。中央青山監査法人も提携先のプライスウォーターハウスクーパースが開発した新しい企業パフォーマンス測定・報告のモデル「ValueReporting」を提案している。
国際比較可能性の確保は、国際会計基準(国際財務報告基準:IFRS)の適用が広がり、グローバルに展開する日本企業も世界基準で会計を行う必要が出ていることが背景となっている。効率的に正確な会計を行うために世界標準のXBRLを使うことが求められているのだ。企業の社会的責任(CSR)に対する意識の高まりを受けて、説明責任を的確に果たそうとする企業が増えたことも要因として挙げられる。
一方で企業の経営に関する情報はメディアやインターネット、同業他社などから大量に発信されているのが現状で、「企業はもはや自社に関する情報をコントロールできない」状態になっていると池田氏は指摘する。デマも含めた大量の情報に太刀打ちするには、自社から積極的に情報を開示する必要がある。コストと手間をかけずに的確な情報を発信するための武器としてXBRLを選択する企業も多い。
XBRLフォーマットに対応したシステムを利用することで、決算短信用や商法計算書類用、有価証券報告書用など企業はさまざまな目的のデータを、手間をかけずに出力できる。XBRLフォーマットのデータは再利用が容易で、データを受け取った監査法人、証券会社などでも自社のシステムに合わせて利用可能。池田氏は「XBRLはデータを利用する企業にとってはメリットがあるが、提出する企業はメリットがないと指摘する意見があるが、そうではない」として「適切な情報発信を可能にし、利害関係者との信頼感を生み出す。また、企業内部のプロセスを改善し、コストを削減する」と企業側のメリットを強調した。
(編集局 垣内郁栄)
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