クチコミの威力をビジネスに転換するネットコミュニティの可能性
2004/4/1
左から、アイスタイル 代表取締役社長 吉松徹郎氏、東京大学大学院修士課程 小笠原盛浩氏、みんなの就職 代表取締役社長 伊藤将雄氏、カカクコム 代表取締役社長 穐田誉輝氏、ベネッセコーポレーション ウィメンズパーク事業統括責任者 安田啓司氏 |
ネットコミュニティを活用したビジネスや法整備の検討などを行う「ネットコミュニティ ビジネス コンソーシアム(NCBC)」は3月31日、第1回NCBCセミナーを開催した。ネットコミュニティから発信されるクチコミ効果の市場に対する影響力の大きさやクチコミ効果を利用したネットビジネスの可能性について、同コンソーシアム発起人各社(アイスタイル、カカクコム、クリエイティヴ・リンク、ベネッセ・コーポレーション)の代表が、それぞれの立場から発表を行った。
発起人各社の共通点は規模の大きさや扱うジャンルの違いはあるが、いずれも、ネット上にコミュニティを設置し、最終消費者からの生の声をBBSなどを活用することで収集、ビジネスにつなげていこうとする点で共通している。それぞれのネット・コミュニティ上で繰り広げられる消費者同士の活発な情報交換が、マスメディアでは期待できない価値を生み出すという点も共通しているだろう。このようなクチコミの質は、あくまでマスメディアで提供される情報とは対極の性質を持つ。すなわち、消費者個人個人のニッチなニーズを満たすという、“狭さ”を常に指向しているのである。
みんなの就職 代表取締役社長 伊藤将雄氏は「だからこそ、クチコミ情報には価値があり、消費者もクチコミ情報に信頼を寄せるようになる」と話す。また、カカクコム 代表取締役社長 穐田誉輝氏は、カカクコム上でみられるクチコミ効果の実例を、デジタルカメラや炊飯器といった実際の製品で紹介しながら、「メーカーがテレビや雑誌などのマスメディアを通じて発信する情報では決して得られない生の貴重な情報をネットコミュニティから発信できる」と話す。
メーカーに対しても、消費者に対しても、ネットコミュニティ上で交わされるさまざまな情報は大きな影響力がある、とNCBC発起人各社は共通の見解を持つが、では、この影響力をどのようにビジネスにしていくのか、という点では各社各様のアイデア次第というところだ。「大前提として、バナー広告、オプトインメール、ダイレクトメール、アフィリエイト・プログラム、物販(通販)といった既存のビジネスモデルに寄りかかっているだけでは、成功しないのは明らか」(みんなの就職 伊藤氏)だというのがもう1つのNCBCの共通見解である。
このような課題に対し、NCBCでは、「ビジネス化検討ワーキング・グループ」「法整備検討ワーキング・グループ」「技術検討ワーキング・グループ」の3つのワーキング・グループを設置することで、ネットコミュニティの発展を促す調査・研究活動や情報・技術交流などを行っていく。2004年6月の定例セミナーで、各ワーキング・グループで行われる研究の途中経過を発表する予定。なお、同コンソーシアムの活動期間は1年である。
(編集局 谷古宇浩司)
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