ボイス・オーバー Wi-Fi普及のための課題

2004/4/20

米プロキシム シニアバイスプレジデント、戦略リレーションシップ担当 イーハブ・アブハキマ氏

 米プロキシム シニアバイスプレジデント、戦略リレーションシップ担当 イーハブ・アブハキマ(Ihab Abu-Hakima)氏はプロキシムについて「ワイヤレスに100%特化した、世界でも珍しい企業だ」と紹介する。そんな同社が想定する企業システムの未来の姿は、ボイス・オーバー Wi-Fi(VoWi-Fi)を利用したオフィス環境である。

 VoWi-Fiについては、米モトローラをはじめとする欧米の携帯電話端末メーカーが端末(Wi-Fi/GSMおよびWi-Fi/CDMA規格対応)の発表を予定しているが、本格的な普及はこれから、といったところ。実際、技術的な課題は山積する。

 プロキシムによると、ボイス・オーバー Wi-Fiに課された要件としては、「密集して予測が難しいユーザビリティへの対応」「シームレスなモビリティ」「高品質なサービス」「負荷分散と帯域管理の向上」「電源管理の進化」といった課題の克服が挙げられる、という。これらの課題克服のため、同社はモトローラやIPコンタクトセンターベンダの米アバイアと技術協力をし、IP電話、携帯電話、Wi-Fiの各インフラストラクチャを統合する製品の開発を行っている。現在、プロキシムは無線LANスイッチおよび無線LANアクセス・ポイント、アバイアはIP PBX、モトローラは携帯端末端をそれぞれ、VoWi-Fiに対応させながら、次世代の無線製品群を構築中である。一部の製品はすでに市場にリリースされている。

 4月19日に発表した、IEEE802.11a/b/g 対応の企業向け無線LANアクセスポイント「ORiNOCO AP-4000」は、同社の戦略製品としての位置付けを持つ。
 
 同製品は、Wi-Fi アライアンスが策定したセキュリティ規格「WPA」(Wi-Fi Protected Acceess)に対応し、またIEEE802.1QのVLANをサポートするなどセキュリティ面を重視した無線LANアクセスポイントである。2.4GHzと5GHz帯で不正アクセスポイントを検出する機能やSNMPv3対応、RADIUS認証、HTTPS対応などエンタープライズ用途に必須のセキュリティ機能も搭載している。

 データの無線転送速度は、802.11aと同gの同時動作で最大40Mbpsを実現した。既存のイーサネット・ネットワークに無線LANネットワークを連携させることで機動性を持たせたり、社内ネットワークとゲスト用ネットワークを構築するなどのニーズを満たす。また、データ転送で最大15チャンネルを使用し、自動的に干渉しないチャンネルを選択する。

(編集局 谷古宇浩司)

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