2004年、グリッドとWebサービスは統合へ向かう
2004/4/29
米アルゴンヌ国立研究所、シカゴ大学教授のイアン・フォスター氏。グリッド研究の第一人者 |
米アルゴンヌ国立研究所、シカゴ大学教授のイアン・フォスター(Ian Foster)氏は4月28日、「Grid World 2004」(主催:IDGジャパン)で講演し、グリッド・コンピューティングを実現する業界標準のミドルウェア「Globus Toolkit」の今後のロードマップを明らかにした。Webサービスをベースにした新しいGlobus Toolkitは2004年第3四半期にも登場する見込みだ。
グリッドについては、ヘテロジニアス環境でのシステム統合やデータ共有に強みを持つWebサービスを基盤にすることが計画されてきた。豊富なインターフェイス機能や拡張性、さらにセキュリティやワークフロー管理を標準機能として持っていることが評価されているためだ。しかし、フォスター氏が代表を務めるThe Globus Allianceが2003年に発表したWebサービスをベースにしたグリッドの仕様「OGSI」(Open Grid Services Infrastructure)は、Webサービスとの互換性が低いなどの理由でWebサービスのコミュニティから批判を受けた。
そこで2004年1月にThe Globus AllianceとIBM、ヒューレット・パッカードなどがOGSIに代わる新しいWebサービス利用のグリッドの仕様として「WS-Resource Framework」(WSRF)を発表した。WSRFはOGSIに置き換わり、グリッドの標準仕様「Open Grid Services Architecture」(OGSA)の基盤となる。
フォスター氏は2004年のグリッドの技術開発を「Webサービスをベースにしたインプリメンテーションを安定させる」と述べた。2004年第3四半期にはWSRFをサポートするGlobus Toolkitのバージョン4.0を発表する予定。2005年第1四半期にはバージョン4.2の発表を計画している。フォスター氏はWebサービスについて「オープンなグリッド環境を構築するための強力な基盤になる」と述べた。WSRFは標準化されていないが「われわれは標準化作業の終了を待たない」として、遅延なくグリッドとWebサービスの基盤統合を進める考えを強調した。
(編集局 垣内郁栄)
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