ノンストップルーティングで落ちません、ノーテル
2004/5/20
ノーテルネットワークスは通信キャリア向け新製品「Multiservice Provider Edge 9000」シリーズ(以下、MPE)を発表した。複数のアクセス回線を統合し、キャリアネットワークを構築するための同社のコンセプト、「Next Generation Network」(以下、NGN)のマルチエッジサービスを構成する。2004年第4四半期から出荷する。
ノーテルネットワークスのワイヤーラインネットワークアジアディレクター アヌープ・チャンガロス氏 |
NGNは、エッジ側でATMやフレームリレーなどの既存サービスとVoIPや映像、IP-VPNなどの新しいサービスを統合しながら、コア側でも同時にIP、MPLS、IP over ATMの回線を統合するコンセプト。ノーテルのワイヤーラインネットワークアジアディレクター アヌープ・チャンガロス(Anup Changaroth)氏は「NGNのような新プラットフォームで実現できる製品が市場で求められていたが、残念ながらこれまで存在しなかった。ノーテルではルータのこれまでの概念を捨てて、2年前からMPEの開発を進めてきた」と説明。MPEはNGNを実現するマルチサービスエッジデバイスとしては業界で初めてのルータであるとアピールした。
チャンガロスは、導入メリットとして「これまで、通信キャリアは多種のエッジサービスとコアサービスを提供するために、それぞれに適したルータを用意する必要があった。キャリアはMPEを導入することで、エッジサービスとコアサービスを統合可能で、運用管理コストが大幅に削減できる」と述べた。チャンガロス氏は、マルチサービスエッジルータ市場について、米ヤンキーグループの調査を基に、2008年までに43億USドルに成長すると述べた。
MPEは、マルチサービスエッジのプラットフォームとして設計されたルータ。ノーテルのワイヤーラインネットワークス キャリアパケットソリューションズ プロジェクトマネージャー 近藤卓司氏はMPEのテクノロジについて、「従来のルータで課題だったソフトウェアをモジュール化し、コントロール部でプロセスごとに分散処理することに成功した」と説明した。既存ルータテクノロジの「ノンストップ・フォワーディング」では、ネットワークに障害が発生する直前にパケットをフォワーディングすることはできたが、コントロール部そのものの障害は避けられなかった。MPEはコントロール部のプロセスをアクティブとバックアップ部分で常時同期させる「ジャーナリング」機能により、コントロール部が落ちることのないメカニズム「ノンストップルーティング」を実現させたという。
MPEの製品ラインアップは2種で、大規模キャリア向けタイプの9500と中小規模キャリアと大企業向けタイプの9200がある。価格は未定。
(編集局 富嶋典子)
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