SAP R/3を導入して2年、その後は?
2004/6/19
日産化学工業の情報システム部長 田尻正宏氏はSAPジャパン主催の「SAPPHIRE」で講演し、自社の事例を紹介した。テーマは「SAP R/3導入後2年、いま、何をやろうとしているか」。SAP R/3の導入プロジェクトが事例として紹介されることは多いが、“その後”が語られることはまれ。田尻氏は「SAP R/3を導入したことで結果としてグループ会社の業務が統合された」と語り、SAP R/3の利用で業務改革やビジネスプロセス統合が容易になったと述べた。
日産化学工業の情報システム部長 田尻正宏氏 |
日産化学工業は2002年から2003年にかけて本社とグループ会社にSAP R/3をビッグバン導入した。海外法人を除く全連結関係会社に全モジュールを導入。同時に関係会社の物流部門を統合、グループの情報システムインフラも統合した。さらに関係会社の事業再編も実施した。
SAP R/3を導入して2年経ち、日産化学工業がフォーカスするのはグループの間接業務を効率化することだ。7月に現状の情報システム部、資材部、人事総務部、経理部を改組し、管理部、人事部、購買部に再編する。情報システム部は管理部に統合され、情報システム室となる。グループや各支社の間接業務部門を統合することで、効率化、スリム化を図るのが目的。仮想的な“ビジネスサポートセンター”を構築し、事業部門に対するサポート機能を高める狙いもある。
田尻氏によると組織の再編が決まったのは2004年2月で、実際に再編するのは7月。これほど短期間で再編できるのはSAP R/3の導入で、すでに各ビジネスプロセスが効率化され、グループで重なっていた業務が統合されていたからだ。「SAP R/3導入で結果として業務が(適切な部門に)集中していた」(田尻氏)という。ビジネスプロセスの集約は完了していたため、人を動かすだけで組織を再編可能だった。
組織再編後の情報システム部門の役割は、ITの戦略的な活用を提案、実施することになる。グループの情報システムやインフラを安定的に運用するのはもちろんだが、田尻氏は「これから注力すべきはITガバナンスの視点で、ITの戦略的な活用を提案したり、技術進歩のメリットを享受できる体制を作ること」と説明。コンサルティング的な立場から、業務プロセスの可視化や業績管理指標の提供などを行っていきたいと述べた。「経営、事業部門と密接に連携し、メリットを生む新技術を探索すること」。これが田尻氏が考える情報システム部門の将来のイメージだ。
(編集局 垣内郁栄)
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