マイクロソフトが“どさんこ”支援

2004/6/30

 マイクロソフトは北海道と協力し、道内のベンチャー育成、人材育成を支援すると6月29日に発表した。マイクロソフトは自治体とのパートナーシップを強めていて、北海道のほかに岐阜県、大分県などと協力している。

米マイクロソフト最高経営責任者 スティーブ・バルマー氏(左)とマイクロソフト 代表執行役社長のマイケル・ローディング。タブレットPCを使って北海道会場の高橋はるみ氏との覚書にサインした

 米マイクロソフト最高経営責任者 スティーブ・バルマー(Steve Ballmer)氏は自治体への支援について「現状の顧客のニーズを探れる。マイクロソフトにとって重要なパートナーシップだ」と述べ、ほかの自治体にも支援を広げる考えを示した。

 マイクロソフトが北海道に対して行う支援は2つ。1つは「フロンティアベンチャー育成プロジェクト with マイクロソフト」。北海道と札幌市、第3セクターの北海道ソフトウェア技術開発機構が設立した「フロンティアベンチャー育成プロジェクト」が選定した道内のITベンチャー企業に対して、マイクロソフトがソフトウェアやサポート、トレーニングを無償で提供し育成を支援する内容。支援する企業は、年間5社程度を想定している。支援する期間は1年から最大3年。

 もう1つの支援は「高等技術専門学院IT人材育成プロジェクト」(通称:ステラプロジェクト)。道内に計12校ある道立高等技術専門学院と北海道障害者職業能力開発校の学生に対してMicrosoft Certified Associate(MCA)、Microsoft Office Specialist(MOS)に対応したIT教育を行う内容で、学生の資格取得をバックアップする。さらに12校の指導員に対してMicrosoft Certified Professional(MCP)、MCA、Microsoft Official Trainer(MOT)に対応した研修を実施する。マイクロソフトは、カリキュラムの開発・提供や専門講師の派遣、テキストの提供などを行う。支援は2004年6月から3年間を予定している。

 マイクロソフト 代表執行役社長のマイケル・ローディング(Michael Rawding)氏は北海道への支援について「道内のベンチャー企業を支援することでコミュニティをつくっていきたい」と述べた。人材育成の支援についても「ITスキルが向上することで雇用機会が増える」と語り、有効性を訴えた。道知事の高橋はるみ氏はマイクロソフトの支援を受けて「IT産業の集積が進むようにしたい。素晴らしい成果を確信している」と期待を示した。

 マイクロソフトが自治体とのパートナーシップを強化する背景には、自治体の電子政府案件を獲得したいという狙いがある。自治体の中にはコスト面、セキュリティ面を考慮しLinuxなどのオープンソースソフトに注目するケースがある。北海道も「Linuxなどのオープンソースソフトの分野も支援している」(高橋氏)という状況で、マイクロソフトの思惑通りに進むかは分からない。高橋氏は「ITは多様化している。(Windows、Linuxなど)どちらか一方のみでは自治体によるIT産業の振興は難しい」と述べた。

(編集局 垣内郁栄)

[関連リンク]
マイクロソフトの発表資料(その1)
マイクロソフトの発表資料(その2)
北海道

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