ピープルソフトが800億円かけるTOEの効果

2004/7/24

 日本ピープルソフトは7月23日、顧客満足度の向上を目的とした新戦略を発表した。日本ピープルソフト 代表取締役社長 クレイグ・ハリデー(Craig Halliday)氏は「変化する企業のニーズを柔軟性と適合性を持った製品で解決する」と述べ、SAPやオラクルなど競合ベンダとの違いを強調した。

日本ピープルソフト 代表取締役社長 クレイグ・ハリデー氏

 ピープルソフトは業務アプリケーションの柔軟性と適合性の高さをアピールし、シェア拡大を狙う方針。その背景となるのは顧客企業のニーズが変わってきているという認識だ。同社 執行役員 プロダクト・テクノロジー統括本部長 荻矢隆雄氏は「大企業はすべてのビジネスプロセスに合わせて1つのパッケージソフトを導入することの困難さに気づいている」として「業務、部門ごとに既存のソフト資産を生かしながらシステムを刷新するソリューションが要求されている」と説明した。

 中堅企業については「リアルタイム経営に対応できる基幹業務システムの統合ニーズは切実だが、予算や人員、期間を投入できない」と述べた。そのうえで「大企業にはコンポーネント化されたベストソリューションと導入のしやすさがキーワード、中堅企業は業態に合ったオールインワンのパッケージが求められる」と指摘した。

 この大企業、中堅企業の両方のニーズにこたえるのがピープルソフト製品が持つ柔軟性、適合性だというのがピープルソフトの考え。ピープルソフトは2000年から業務ソフトをWebベースで構築。この「ピュア インターネット アーキテクチャ」を採用したことで、業務アプリケーションの操作を簡単にし、教育コストを削減できるという。また、実行・開発環境として他システムとのインターフェイス機能を持つ「PeopleTools」を採用。既存システムとの連携など柔軟性を確保できているという。

 ピープルソフトがもう1つ注力しているのが、TOE(Total Ownership Experience:総合的な品質向上による顧客満足度)の向上。TOEはピープルソフトが提唱している指数。ピープルソフトはTOEを向上させるためにすでに800億円以上を投資し、製品不具合の減少や導入時間の短縮、問題解決時間の短縮などを実行してきた。米フォレスタが調査した結果によると、ピープルソフト製品はオラクル製品と比較してTOEが43%高いという。また、TCO(Total Cost Ownership:総所有コスト)についても米メタグループの調査でピープルソフト製品がSAP製品と比較して51%低いという結果が出ていると胸を張る。

 ピープルソフトは日本の顧客サポートも強化する。既存の「カスタマ サポート センター」を拡充し、技術的なトラブルシューティングだけでなく製品やサービス、トレーニングなど顧客が求める情報を提供し、満足度の向上を図る。また、2003年4月に開設した品質保証の施設「東京テストセンター」を、品質保証施設のアジア太平洋地域の拠点に格上げ。日本で品質チェックを行う製品ラインを増やすとともに、出荷する日本版製品の範囲も広げる計画。

 ハリデー氏はピープルソフトがJ.D.エドワーズと合併したことで国内の顧客数が400社となり、「グローバルでの日本の存在感が高まった」と指摘。「米本社から見た日本市場の位置づけが高くなり、充実した製品サービスを顧客に提供できるようになる」と述べ、顧客サポートをさらに拡充する考えを示した。

(編集局 垣内郁栄)

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