[eWEEK] IBMとRationalの統合は成功だったのか(1)
2004/8/10
開発業務の指揮権をRational事業部に譲ったIBMのソフトウェアグループ担当上級副社長、Steve Mills氏は、この措置はよい点ばかりだと話している。Mills氏はeWEEKのDarryl K. Taftによるインタビューに答え、ツール関連やRationalとIBMの統合について語り、Javaのオープンソース化と、Officeの代替製品の必要性に関するアイデアを余すことなく披露してくれた。
――そもそもRationalを買収した背景は何ですか
Rationalとは長年提携関係にありました。デザインツールと統合プラットフォーム、そしてテストツールの市場ではRationalがプロバイダとして一流だったため、われわれのアプリケーション開発ツールとRationalのツールは数年前から補完的な関係となり、2社の独立した企業として共同でのマーケティングや営業にかなりの力を入れていました。
また、顧客が構築しようとしているアプリケーション、IBMミドルウェア技術との一段と緊密な接続技術の必要性、そして包括的プロセス統合アプリケーション重視への方向性を考慮し、洗練され、結びついた包括的アプリケーションのプロセスフロー構築に向け、1社にまとまって会社を越えた協力を実現することが重要だと感じるようになったのです。
従って、市場の事情が買収の要因になったのであれば、明らかに基本的な能力が終始提携の動機になっていました。
――成果はあったといえますか
大成功です。RationalがIBMの一部になる短期的な見方ではありますが、われわれが市場でRationalを再び成長軌道に乗せたのです。Rationalは過去2年間、成長できずに市場で低迷していましたが、昨年は、Rationalソフトウェアで2けた成長を達成し、Rationalのビジネスも2桁成長させました。
市場での短期的な成功という点では非常に効果的な買収だったと思います。また、戦略的な観点から見ても、RationalツールとIBMツールの連携を何度も強化してくれました。ソリューションをさらに完璧なものとすべく注力することは、長期的な面で顧客に有益なものとなりました。
Rational買収には非常に満足しています。これは買いでした。
――IBM Software史上最高あるいは最もスムーズな買収だった、という話をどこかのイベントで一度は耳にしました。なぜそういえるのですか
ここまでうまく進んだのは、われわれとRationalに長期的関係があり、お互いを知っていたからです。買収後にお互いを理解する必要がありませんでした。また、Rationalの文化もIBMのそれと非常に似ているのです。
文化だけでなく、技術の組み合わせも素晴らしいものでした。
――統合は現在どのような状況ですか
ビジネス面では極めて迅速に手続きが進みました。提携したその日には文字どおり統合を進めていました。われわれには入念に構築された相互協力システムがあり、Rationalの従業員とIBMの従業員とを結びつけています。
われわれが3000人以上の人材をソフトウェアグループに移動したので比較的大規模な買収になりましたが、統合作業は6カ月で完了することができました。専任の統合チームは8月から9月にかけて段階的な縮小が始まりますし、すべてがかなり順調に進んでいます。したがって、業務統合面はすべてが非常に順調に進んでいます。ただし、製品面では品そろえの整理が続いています。
私は、WebSphereのアプリケーション開発環境関連作業や、そのトップを務めていたLee Nackmanとその部下をMike Devlin配下に移管しました。Researchの新技術をRationalの製品群に組み込んでいます。また、Rationalデザインツールと、WebSphereのインフラや業界のこれまでの作業パターンとの連携を強化しました。比較的短時間で大きく前進したのです。
うまくいくとは予想していました。私はMike Devlinを信じていましたし、信頼していました。彼は素晴らしいリーダーであり、ソフトウェアビジネスを隅から隅まで確実に理解していると思います。それに、彼はRationalという立派な会社を作ったのです。
――今後はどのように統合が進んでいくのでしょうか
毎年やることはあります。われわれが達成しようとしているのは、XDE環境というデザイン環境がさらに多くのイメージコードを生み出せるような環境です。顧客は、設計からコーディングの段階、そしてテストへと短時間で進みたがるものです(メモ:RationalのXDE技術はこれまでExtended Development Environmentと呼ばれていた)。
それには、インプリメントしようとしている業務パターンと、稼働時に考えている実行環境をツールが認識している必要があります。そこで、開発プロセスをさらに加速し、顧客の効率を上げるために、デザインツールとしてのXDEにもっと機能を追加していくことになります。
われわれには、導入時にもっと効果的に監視と管理ができるよう、アプリケーション開発時に管理と監視側との連係を高める計画もあります。
アプリケーションのライフサイクルは、開発プロセスだけでなく、生産されるアプリケーションのライフサイクル全体に範囲が拡大しつつある、との考え方になりつつあります。そこで、WebSphereのインフラだけでなく、Tivoli監視/管理ツールにも連係を拡大しています。
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[英文記事]
IBM's
Mills: Rational Fits Hand-in-Glove
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日本IBM
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