[eWEEK] IBMとRationalの統合は成功だったのか(2)
2004/8/11
――では、その中心(編集局注:アプリケーションライフサイクルが開発プロセスだけでなく、生産されるアプリケーションのライフサイクル全体に範囲が拡大しつつあるとの考え方の中心の意味であり、IBMのWebSphereのインフラ、Tivoliツールにも連携を拡大しているが、その中心、という意味)はRationalのモデリング技術になるのですか
ここまでのインタビューは「IBMとRationalの統合は成功だったのか(1)」を参照のこと |
下位レベルのデザインとコード生成作業はテストプロセスでも続き、最終的には導入時にも残りますし、アプリケーションのアップデートや保守も続きます。従って、ライフサイクルは永遠に続くのです。一連のステップになっていて、Rational製品の一部となっている技術は、すべてが包括的なライフサイクルの実現に欠くことのできないものです。
そして、WebSphereプラットフォームの一部としてあるビジネスプロセスモデリング機能に関連してRational製品群の周囲に集まるほかのIBM技術や、監視およびシステム管理全体を追加するときは、これらすべての側面でアプリケーションの開発能力を拡大し続けます。
顧客はアプリケーション構築時間を短縮する方法を探していますが、それと同時に、そのアプリケーションが包括的で、ビジネスニーズにマッチし、十分機能し、徐々にスケーリングも可能で管理もしやすいものになるよう徹底します。このように、基盤部品の多くがアプリケーションのライフサイクル開発環境に含まれるのです。
Rationalが持ち込んだ一連の技術とIBMの既存の製品群を見れば、これらが市場で最も完全かつ包括的な製品開発ライフサイクルツールであることがお分かりになると思います。
――ライバル各社は、MicrosoftやBEAの技術サポートなど、Rationalが単独企業として展開していた異種戦略を今後維持することは疑わしいとの反応です
アーキテクチャの仕様が公開され、提供されるマルチプラットフォームとマルチアーキテクチャのサポートについては継続するつもりです。
BEAのサポートは、J2EE(Java 2 Platform、Enterprise Edition)のサポートで実現されます。また、Microsoftのサポートは同社の公開するAPIによって実現します。従って、インターフェイスが公開されている限りはサポートが可能です。複数のリレーショナルデータベースと、もちろん複数のハードウェアプラットフォームもサポートできます。この異種戦略こそ、われわれの全ソフトウェアが基盤とする戦略なのです。
BEA WebLogic上で動作するアプリケーションをWebSphereアプリケーション開発環境を使って構築する顧客は多数います。われわれがTivoliツールを使ってあらゆるプラットフォームとあらゆるインフラを管理することは間違いありません。われわれには、さまざまな種類のものを対応づけるモデルがあり、これが、現在サポートされる無数のプラットフォームから得る売上高にも反映されています。このようなことから、いまのところはビジネスをダウンサイズする計画は一切ありません。
――これまでの段階で、Rationalは何によってIBMの収益に貢献していますか
まず、Rationalは買収されたときにはすでに有名な会社でした。われわれは、事業部レベルでは数字を細かく分類しませんので、買収時のRationalは総売上高が大まかなところで約7億ドルでした。その後、昨年には業績が伸びたのです。Rationalが持ち込んでくれたものもありますし、Rational製品群とその貢献を生かして残りの品ぞろえ拡大につなげることもできたので、素晴らしい買収になったということです。顧客はこれを完全なソリューションとしてとらえています。
――Rationalの既存客やIBMの既存客など、顧客の反応は今のところどうですか
非常に肯定的です。実際、顧客からの照会も何件かあります。Rationalの顧客は非常に多く、フィードバックに耳を傾けると、Rational製品群との関わりがIBMの買収によって深まったという話が聞かれます。これまで得られていたものすべてに加え、それ以上のものが得られているのです。
――それぞれが持つ現場の専門知識は、RationalとIBMで相互にどのように役立っていますか
明らかに、Rationalチームはプログラマコミュニティがアプリケーションの設計や構築で対処しなくてはならないことについて深い知識を提供してくれます。確かに、IBMにも同様の経歴や経験を持つ人材がいました。ここ最近は、特に現場で、Rationalの方がこのような資源を多くIBMに提供してくれるのです。これにより、われわれの営業部隊と取引能力は一気に高まりました。
IBMの方も、ランタイム実行環境、トランザクション処理、そしてシステム最適化スキルの深い知識を提供してくれることは確かです。また、広範な市場の観点から見ると、Rationalチームは製造やエンジニアリング企業、航空宇宙、および米国防総省といった分野に深く浸透しています。IBMチームの方は、銀行、保険、および小売業に浸透し、深い関係を築いています。したがって、これらの分野におけるスキルや連絡窓口の融合では高い効果が出ています。
Rationalチームは、米国政府や国防省、そして航空宇宙企業各社と非常によい関係にあり、これがIBMの民間企業チームのメンバーに機会を提供してくれました。一方で、IBMチームの方が深くカバーしていた民間企業アカウントの一部については逆もありました。このように、両社は補完的役割を果たしてきました。また、アジアやヨーロッパ各国への対応はIBMの方がRationalより優れているため、これがRationalツールの販売機会拡大に役立っています。
われわれは、買収した企業を徹底的に支援してきました。市場からも素晴らしい評価を得ています。IBMの企業買収は、顧客にとってプラスであり、マイナスではありませんでした。そもそも、Rationalの力は最も優れているのです。
Rationalツールを使って開発環境を構築した企業が別のものに移行するという考えは、技術やトレーニング面から考えると意味がありません。IBMは、自社が提供する技術とサポートする顧客に対する責任を長期にわたって果たします。
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[eWEEK] IBMとRationalの統合は成功だったのか(4) |
[英文記事]
IBM's
Mills: Rational Fits Hand-in-Glove
[関連リンク]
日本IBM
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