[eWEEK] IBMとRationalの統合は成功だったのか(4)
2004/8/17
――Rod
Smith氏がSunに公開質問状を出していますが、IBMはJavaのオープンソース化をどの程度真剣に検討しているのでしょうか
Sunがどの程度真剣かという質問でしょうか? われわれにはJavaをどうすることもできません。Javaの定義も、どこかがJava対応などを謳(うた)う権利もSunが有しています。商標を管理しているのは彼らです。Javaに関する認定や商標権はすべてSunが支配しているのです。オープンソース化されたコードでも、Sunが認定しなければJava対応は謳(うた)えません。
Java(Community)Processの一環としてSunが出しているコードに関しても、これを使ってできることには制限があります。そこでSunには、Javaの開発プロセスや、Javaの市場拡大にメリットのあるJava管理プロセスを続行する方法がほかにもあることを伝えたいと思います。普及拡大のために、Sunにはこれまでも、そしてこれからも提案したいのですが、市場で業界と協力してJavaを管理する別の方法を検討して欲しいと思います。
Sunへの公開質問状は、重要なものがあると考えるならIBMはJava技術をオープンソース化すべきだ、と提案するSimon Phippsを引き合いに出した記事に直接回答するものです。この文章は全く理にかなっていません。われわれにはJava技術をオープンソース化する権利がないのです。
――そうですね。IBMが問題のないきれいなJavaのインプリメンテーションをオープンソース化したらどうか、という提案だったのでしょう
そのようなものはありません。作り出すことは可能かもしれませんが、それは別として、それをJavaとは呼べません。Javaそっくりで、Javaにとてもよく似ているもののまったく同じではない、マイクロソフトのC#のようなものを開発することはできます。でもこれはJavaとは呼べません。マイクロソフトはしばらくの間、J++製品を巡ってSunとかなり険悪な状態にあり、これがJavaの商標に値するかどうかで大きな議論がありました。確かこれは裁判にまで発展しました。
私は批判しているのではありません。Javaは大成功を収めているというのがわれわれの見方で、Javaの将来を考えると、JavaのプロセスとJava
Community Processを見直し、より一般的でオープンな業界標準化プロセスが、どのようにJavaと連動し、一貫性を維持し、環境を拡大し続け、さらなる採用を促すか検討するメリットがあるのではないか、と思うのです。私はこのような見方をしています。
Sunは現在、プロセスの管理と運営に膨大なコストをかけています。新しいプロセスを模索することは財務的にもメリットがあると思います。その起源がSunであることに疑問の余地はありません。今も彼らに帰属していることは変わりません。しかし、これは、Javaをもっと市場に普及させる方法とは別の問題のように私には思えるのです。
――私はWebサービスの記事も担当しており、IBMとマイクロソフトはさまざまな標準に関してほとんど融通が利かなかったのですが、ここ最近はそうでもないようです。方向を変えたのでしょうか
そうではないと思います。われわれの提携は永続的関係を前提にはしていません。提携に至ったのは、ウェブサービスと呼ばれるXMLベースの構造の採用を促進したかったからです。お互いに関心を持ち、素早く展開できる分野の存在を感じたのです。
それと同時に、われわれは別々の企業であり、その利害は完全には一致していません。協力もしますが独自の取り組みも行います。かなり進展もあって、構造もかなり整いました。パターンを見れば、われわれが取り組みに他社を巻き込んでいることが分かります。われわれが開催するワークショップを通じて多数の入念な調査が進んでいます。また、われわれは周辺構造が用意できると、これらの標準を従来の標準化団体に推奨してきました。
われわれ両社は、この特定の標準に興味を持つ企業が仕様をコード化し、そのコードのサンプルを特定の構造の初期事例として公表するとき、本当に標準化されたと感じます。今は、コードの裏付けがない標準化作業はあまり長続きしないのが一般的です。
――IBM社内やSoftware Group内で、Microsoft Officeの利用を取りやめる取り組みや動きはありますか
われわれが、どうすれば顧客の計算処理を効率化できるか常に模索していることはご存じかと思います。われわれのビジネスは顧客の所有コストで決まるのです。所有コストを削減できるところにメリットが存在します。
Officeの問題はかなり複雑です。IBM社内にも、Microsoft Officeを使わない社員はいます。ライトウエイトのエディタを使っている人もいれば、OpenOfficeなどの各種ツールを使っている人も確かにいます。われわれは、顧客が経済的に作業できるよう支援するものとして、どの計算処理モデルが今後重要になっていくのかを常に考えています。
もっと機能を絞ったクライアント、つまり、Workplaceやポータル製品のようにサーバに管理されるクライアントは、経済的に非常に大きなメリットを顧客に提供してくれます。そして、これはWindows利用の有無とはまったく関係ありませんし、Office利用の有無とも多くの場合は関係ありません。
われわれは、重厚長大なクライアントの管理に顧客が膨大なコストをかける現状を大きな問題の1つだと考えています。また、クライアント周辺には、顧客の所有コスト改善方法を考えるべく膨大な投資を行い、今後も投資が続くという分野もあります。
つまり、これはオペレーティングシステムに特化した取り組みではないのです。われわれは全世界をLinuxクライアントに移行させようとしているわけではありません。Windowsクライアントを使っているIBM社員は多数います。中にはWindowsクライアントを使い始めたばかりで、これを新たな選択肢の1つとしていじり回している人もいます。Linuxクライアントに関心を示す顧客もいますが、今日の市場は圧倒的多数がWindowsクライアントで、この状況はすぐには変わらないでしょう。
この話題に関しては、各方面でかなりの混乱が起こっています。これについては、利用するソフトウェアパッケージではなく、むしろ、クライアント環境のデザインや、アプリケーションの動かし方の問題のように思います。また、多数の企業がポータルスタイルのモデルに移行しつつありますが、私はこれをサーバ管理・サーバコントロール型と考えています。そして、このような状況を変えるべきところに来ていると考えます。あまりにもコストがかかりすぎるのです。
――そのとおりです。社内でOfficeの利用を取りやめるような試験的取り組みはあったのでしょうか
われわれは、IBM社内の全員をポータル化し、ポータル環境で業務を行わせるようにしています。Officeを必要としないIBM社員は多数います。今日のWebSphereポータル製品にはライトウエイトのエディタもあり、Officeは必要ありません。エディタを使えばよいのです。そうですね、確かにわれわれはほかの選択肢を検討しています。何か1つですべてできるような世界ではないと思います。
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[eWEEK] IBMとRationalの統合は成功だったのか(4) |
[英文記事]
IBM's
Mills: Rational Fits Hand-in-Glove
[関連リンク]
日本IBM
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