HP、サーバ仮想化技術のマルチOS化を含む強化計画

2004/9/16

米ヒューレット・パッカードの仮想化技術およびユーティリティ・コンピューティングの責任者であるニック・バンダージープ(Nick van der Zweep)氏

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は9月15日、サーバの仮想化技術「HP Virtual Server Enviroment(HP VSE)」のマルチOS化対応を含む強化計画を発表した。サーバの仮想化は、主にIBMとHPが次世代のコンピューティング概念である“ユーティリティ・コンピューティング”環境を実現するためにしのぎを削っている技術分野である。今回同社はこれまで分散していたさまざまな仮想化技術のコンポーネントを統合し、Linuxなどに対応するマルチOS化を実現する。Windowsへの対応は未定。

 HP VSEはサーバのリソースを利用状況に合わせて最適化するよう設計されたHPによる仮想化技術である。「制御」「堅牢性・冗長性確保」「パーティショニング」「ユーティリティ・プライシング(資源の使用量に応じた従量課金)」といった、サーバの仮想化を実現するコンポーネントで構成されている。各サーバのアプリケーションで設定したサービスレベルの目標値に基づき、システムを仮想化し、自動的に拡張・縮小させることが可能になる。

 BEAシステムズやオラクル、SAPといったベンダのアプリケーションとのインテグレーション能力を高めるためのツールキットも準備中である。将来的には、HP VSEのマルチOS対応の動的なワークロード管理機能(HP Global Workload Manager)やソフトウェアパーティショニング機能(HP Integrity Virtual Machines)を利用し、複数のサーバ間でリソースの割り当てを自動化するという利用状況での最適化や、単一のCPU(あるいはI/Oリソース)をOSに規定されることなく共有することが可能になる。

 具体的な製品のリリースは2005年上半期から順次行っていく予定。

 サーバの仮想化という考え方はそもそもメインフレームの分野で培われてきた考え方であり、そういう意味でメインフレーマとしての歴史が長いIBMにとっては、過去35年の仮想化技術研究の歴史があるというアピールをすることができる。実際、同社の論理区画分割などのサーバ仮想化技術はメインフレームで培った技術の応用である。そして、商用UNIXサーバの仮想化技術はこのようなメインフレームの仮想化という概念を継承した技術基盤のうえに成り立っている。HPはメインフレームを持たないITベンダだが、UNIX市場ではIBMを凌駕(りょうが)するポジションを市場で築いている(IDC Japan「国内UNIXサーバー市場ベンダー動向」)。

(編集局 谷古宇浩司)

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