ジュニパー創設者が「通信事業者は方向性を見失っている」

2004/9/16

 米ジュニパーネットワークス 創設者兼CTOのプラディープ・シンドゥ(Pradeep Sindhu)氏は、通信事業者の技術の現状について「通信事業者は向かうべき方向性を見失っている」と指摘したうえで、ジュニパーが掲げる通信事業者向けの新コンセプト「インフラネット」が通信事業のビジョンを明確化し、次世代技術へ導くと説明した。

米ジュニパーネットワークス 創設者兼CTOのプラディープ・シンドゥ氏

 インフラネットは、ネットワーク技術と連携するコンピューティング技術、アプリケーション技術までを視野に入れたビジョン。いくつかのフェイズに分かれていて、最終フェイズの“グローバルインフラネット”では、ネットワーク事業者が広範なIPネットワークにまたがるサービスでQoSを実現することなどを目指す。

 シンドゥ氏はインフラネット実現のための重要なキーワードとして「仮想化」と「信頼性」を挙げて、「従来のサービスや技術では、仮想化と信頼性はトレードオフの関係にならざるをえなかった。しかし、インフラネット構想は両方とも実現させることができ、IPネットワークの標準化を進めることになるだろう」と語った。

 インフラネット構想は、2003年秋にジュネーブで開催されたITU Telecomでジュニパーとルーセント・テクノロジーが共同で推進を呼びかけた。マイクロソフトやオラクルなどのソフトウェアベンダや、PCベンダ、通信キャリアがインフラネットの標準化に参画しているという。「インフラネット構想実現のため、多くのベンダが自由に参加できるようオープンな推進協議会を設けている。今後はさらに参加ベンダが増えるだろう」(シンドゥ氏)。

 ジュニパーは数年前まで通信事業者のビジョンとして「MINT」(The Model for Integrated Network Transformation)を提唱していた。シンドゥ氏はMINTとインフラネットの違いについて「MINTは通信会社のビジネスモデルを、付加価値中心で収益を生むビジネスモデルに転換させるためのビジョンだった。インフラネットへと発展するまでの揺らん期のビジョンだったといえるだろう」と説明。そのうえで「インフラネットはアプリケーション層までを含めて情報の伝達とサービスの要求、安全性と品質を考えた新ビジョンである」と強調した。

(編集局 富嶋典子)

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