国産業務ソフト「弥生」に初のネットワーク対応版

2004/10/29

弥生 代表取締役社長の平松庚三氏

 業務ソフト開発の弥生は10月28日、店頭における業務ソフト販売の頭打ちを受け、従来同社がメインターゲットとしてきた小規模事業所(従業員数30人以下)向けラインに加え、中規模事業所(100人以上)をターゲットとした法人向けラインを追加すると発表した。対象は「弥生会計」シリーズで、マイクロソフトのSQL Serverに対応し、オンライン・ローンサービスもサポートした「弥生会計 05 NE」を2005年春に出荷する予定である。

 同社 代表取締役社長の平松庚三氏は、競合とのシェア争いには「勝利を収めているが、市場そのものに閉塞感を感じる。売り上げは落ちているものの、シェアだけ向上しても意味はない」と漏らす。実際同社のパッケージ売り上げは前年と比較して「1億円ほどダウンした」(平松氏)のが実情で、今回、主力製品である「弥生会計」を新たな市場に向けて投入するのは、新規市場を開拓することで、成長率の向上を狙う目的がある。

 同社が中規模事業所向けにネットワーク対応製品を投入する背景には、2005年から金融機関による中小企業向けファイナンスサービスが本格化するという予測がある。同社はすでに3月25日、あおぞら銀行と業務提携を結び、弥生ユーザー向けにファイナンスサービスを提供するという発表を行っている。8月30日には、ミロク情報サービスと日立ソフトウェアエンジニアリングが中規模事業所向けファイナンスサービスの共同事業化を盛り込んだ包括的な業務提携を結ぶ発表をしている。

 今回同社は「弥生会計 05 NE」のリリースだけではなく、ほかの「弥生会計」シリーズや「弥生販売」「弥生給与」「弥生顧客」「やよいの青色申告」といったすべての製品でバージョンアップをし、「05」シリーズとして刷新をしている。同社では「05」シリーズの年間出荷予定本数を10万本と見込んでいる。

(編集局 谷古宇浩司)

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