日立のERPパッケージ、フレームワークを採用して装いも新たに
2004/11/12
日立製作所 クロスマーケットソリューション事業部 事業部長 佐久間嘉一郎氏 |
日立製作所 情報・通信グループは11月11日、Webベースの運用・操作が可能なERPパッケージの新製品「GEMPLANET Ver.2」をリリースすると発表した。同製品は従来、GEMPLANETが提供してきた「会計管理」「人事・労務管理」「生産・販売管理」といったERPの基本機能に、業種ごとの生産・販売管理用テンプレートや会計/人事・労務関連の新制度導入を支援する機能オプション群を追加した。今回リリースする「GEMPLANET Ver.2」は、単体のERPとしての機能アップグレードという位置付けだけではなく、日立グループでバラバラに展開していたERPパッケージ製品群を統合するための核としての位置付けも持つ。
現在、日立グループには、(GEMPLANETにかかわりを持つ)業務ソフトを開発、販売している企業が22社ある。それぞれの企業で提供していた業務ソフト群とGEMPLANET Ver.2をスムーズに統合可能とし、導入・開発作業を容易にするため、同社は「開発手順」や「実装方式」「開発ツール」「共用部品」を共通化した「GEMPLANET フレームワーク」を開発、この共通基盤を採用することで、統一操作/運用環境を実現するようにした。GEMPLANET Ver.2自体は11月15日にリリースするが、GEMPLANETファミリ製品と位置付けられるパートナー企業の業務ソフト群は、各製品のバージョンアップやメンテナンスのタイミングに合わせ、随時フレームワークに合わせた調整を行っていく予定。
GEMPLANETフレームワークを間にはさんだGEMPLANETファミリのバックエンドは、データベースやミドルウェア、サーバ、ストレージ、ネットワークインフラなどをすべて共有化する。これらのシステムはすべて日立製作所が自社内で開発した製品があり、文字通り「トータルなシステム」として、同社から提供可能である。
しかし、国内のERPパッケージ市場における同社の存在感は、実際のところ薄いのが実情だ。
矢野経済研究所が2004年4月14日に発表した「2003 中堅企業におけるERP及び拡張ソリューションの導入実態と今後の展望」という調査結果によると、財務会計における年商100〜1000億円の中堅企業全体におけるERP導入シェアにおいて、日立製作所は7位である(1位 SSJ20.2%、2位 SAP13.8%、3位 富士通12.8%、4位 住商情報システム7.3%、5位 オービック6.4%)。大企業向けではどうかというと、この分野ではSAP(2003年度のライセンス売上高シェア46.1%)が圧倒的な強さを発揮しており、国内ERPベンダが付け入る隙はない(矢野経済研究所「2003-2004 機能拡張するERP市場の実態と戦略展望」)。
日立製作所 クロスマーケットソリューション事業部 事業部長 佐久間嘉一郎氏は「2008年度には売上高450億円、2500社の導入で、市場シェア20%を獲得したい」と意気込む。今年6月に情報通信部門で事業ブランド「uVALUE」を打ち出し、情報通信の日立としての認知度向上を目指す日立製作所情報通信部門の事業戦略において、ERPパッケージ「GEMPLANET」は尖兵(せんぺい)の役割を果たすことになりそうだ。
(編集局 谷古宇浩司)
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