ICタグ普及は順調か? 日本ユニシスの導入事例を見る

2004/11/17

 ユビキタス社会を実現するキーデバイスとして無線ICタグが取り上げられ、各社が実証実験を行っている。ICタグが最初に注目を集めたのは2003年。それ以降、ICタグは順調に普及が進んでいるのか。日本ユニシスのビジネスマネジメント本部 企画部 ユビキタスビジネス 松谷博氏は「日本ユニシスはすでに40〜50件の提案を行い、十数件に導入をした」と述べ、順調な普及を強調した。

日本ユニシスのビジネスマネジメント本部 企画部 ユビキタスビジネス 松谷博氏

 日本ユニシスがICタグのシステムを構築し、すでに稼働しているケースがある。大手建設機械製造業のある企業は進ちょく管理の効率化を狙って建設機械の製造工程にICタグを導入した。建設機械の個々の部品にICタグを付けるのではなく、部品を工場内で運ぶ運搬台にICタグを付けた。部品が製造工程のどの段階にあるかがリアルタイムに分かり、歩留まりなどを解消できるようにしたという。工場内の作業者にもICタグを貼付。もし建設機械の出荷後に不具合が起きた場合、どの作業者の工程で問題があったかが分かるようにした。

 大手建設機械のICタグシステムは2004年9月に一部がカットオーバー。松谷氏は「効果があれば工場内に広げたい」と述べた。

 レンタル業のある企業は、レンタル品の管理にICタグを利用する。工場内でレンタル品を運搬するカゴ車にICタグを貼付。複数のレンタル品をまとめて出荷検品できるようにした。また、工場内にICタグのリーダを取り付けたゲートを設けて、トラックのドライバーが1人でレンタル品を出荷できるようにする。松谷氏は「2005年3月にカットオーバーする予定。全国に展開する企業なので、最終的には数千から数万枚のICタグが利用されることが考えられる」と述べた。

 エックス都市研究所は2005年3月25日から開催される愛知万博の日本政府館の設備資材にICタグを利用する。設備資材にICタグを付けて、利用やメンテナンスの情報を管理。日本政府館を解体した際に設備資材の中古品をリサイクルしやすくする。ICタグを付けることで日本政府館の資材がしっかりとメンテナンスされていることをリサイクル業者などに保証できるという。

 松谷氏は日本ユニシスにあったICタグ関連の引き合いについて「従来は小売・卸・サービスや物流・倉庫の業種が多かった。ICタグは最初、流通、物流面で注目されることが多かったからだ。しかし、ここにきて製造業からの引き合いが増えている」と説明した。日本ユニシスはICタグ事業の業務コンサルティングや経営コンサルティング、そしてICタグの実装で収益を上げる考え。松谷氏は加えて「最終的には顧客の基幹系システムのところまで入っていきたい」と述べ、ERPなど基幹系システムとICタグを組み合わせたシステムの提案を積極的に行っていく考えを示した。

(編集局 垣内郁栄)

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