[Oracle OpenWorld開催]
EMCのトゥッチCEO、来年のストレージ動向を予測

2004/12/11

 米EMCの社長兼最高経営責任者 ジョセフ・トゥッチ(Joseph M. Tucci)氏は12月9日、「Oracle OpenWorld」で講演し、ストレージ業界の2005年の動向予測を発表した。EMCから見た技術動向だが、業界共通の流れも感じられる。

米EMCの社長兼最高経営責任者 ジョセフ・トゥッチ氏

 トゥッチ氏の最初の予測は「情報ライフサイクル管理」(ILM)に関する内容。トゥッチ氏は「ILMは2005年に30%近い成長をする」と述べ、ILMがストレージ業界全体の成長を超えて伸びると説明した。アプリケーションにインテリジェンスを持たせて、より効率的にデータを利用する流れが広がると予測。ストレージ間でデータを移動させるためのポリシーエンジンが注目を集めると説明した。

 トゥッチ氏はデータのバックアップについて、テープドライブで行う現在の方法からディスクドライブを使う方向に移行する流れが加速すると述べた。特に大容量で低価格なATAディスクの利用が広がるという。ディスク容量の拡大は続き、400GBのファイバ・チャネルディスクアレイや500GBのATAディスクアレイが登場すると説明した。

 iSCSIを使うSANは2005年後半に「テイクオフする」とトゥッチ氏はいう。ただ、既存のファイバ・チャネルのSANを置き換える大規模なシステムではなく、中小規模システムやネットワークのエッジ部分での利用が主となる。ストレージ仮想化は2005年はまだ導入の準備が進むだけで、本番利用が一気に増えることはなさそうだ。サーバ仮想化と合わせて本番導入が進むのは2006年とトゥッチ氏はみている。

 EMCはストレージとサーバのリソースを統合し、一元的に仮想化することを考えているようだ。ストレージ仮想化はEMCが従来から取り組んでいる。サーバ仮想化は傘下のVMwareが技術を持っている。これらの技術を統合することで、ストレージとサーバの両方のリソースをダイナミックにプロビジョニングできるという。

 トゥッチ氏はVMwareとオラクルのパートナーシップも説明した。VMwareのソフトウェアで仮想化したサーバ上でOracle Database 10gを稼働させる実験を共同で行っているという。EMC本体もオラクルがデル、インテルなどと組織したグリッド・コンピューティングのコンソーシアム「Project MegaGrid」に参加し、グリッドの普及を図る考えだ。

(編集局 垣内郁栄)

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