ストレージサービスが成長する“複雑な”理由

2004/12/17

 IDC Japanは12月15日、国内ストレージサービス市場の2004年から2008年までの年間平均成長率が6.0%になるとの中期予測を発表した。ITサービス全体の成長を上回る予測で、IDC Japanではミッションクリティカル分野で利用されるストレージが増加し「より高度なレベルの保守・メンテナンスサービスが求められている」と背景を説明している。

 IDC Japanによると国内ストレージサービス市場は2002年に1500億円を突破。2007年には2000億円まで成長すると予測している。

 ストレージサービス市場が成長を続けるのは、ストレージシステムの複雑性が増しているからだ。オープン性を重要視するストレージが増えて、ユーザーの選択肢は広がった。ユーザーは自社のシステムや用途、コストを考えて多様なストレージを最適に組み合わせることができるようになった。しかし、その結果としてストレージシステムの運用管理・保守の複雑性が増し、ストレージサービスのニーズが上がっているというのがIDC Japanの見方だ。

 IDC Japanでは「複雑な条件のもとで、最適なストレージインフラを企画、設計、導入することを自社の情報システム部門のみで行うのは難しい。多くの場合、社外のプロフェッショナルサービス『コンサルティング、設計、導入サービス』が活用される」としている。

 ストレージサービスは、ストレージ市場全体を引っ張る原動力にもなっているようだ。IDC Japanの調査によると、2003年はストレージのハードウェアの出荷金額がマイナス成長となったが、ストレージの保守・メンテナンスサービスは売り上げを伸ばしたという。ストレージの保守・メンテナンスサービスは、国内ストレージサービス市場の2003年の売り上げ全体の60%を占めた。

 ストレージ業界で注目を集める「情報ライフサイクル管理」(ILM)はシステムを構築する前の業務コンサルティングが特に重要とされる。ILMではデータのビジネス上の価値を判断して、ストレージ間を移動させる。データの価値を判断するには事前のコンサルティングで業務のフローを把握し、ストレージシステムの構築に反映させる必要があるからだ。IDC Japanのストレージシステムズリサーチマネージャー 鈴木康介氏によると、ILMに関してネットワークストレージの統合や特定アプリケーション向けの自動アーカイブソリューションを導入する企業が出始めているという。ILMの導入が進むにつれて、ストレージサービスの重要性がさらに増すのは間違いないだろう。

(編集局 垣内郁栄)

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