“現地開発主義”に基づいて日本に開発センター設立、シスコ

2004/12/18

 シスコシステムズは12月16日(米国時間)、東京新宿区に研究開発センターを設立すると発表した。同センターではルーティングテクノロジを主として、Cisco IOSやIOS-XRの研究開発を行う。

 研究開発センターは2005年2月のオープンを予定しており、シスコは今後5年間で1200万ドルを初期投資として投じる。センター長は、米シスコシステムズ IPコアテクノロジーグループ副社長 ジョン・ハーパー(John Harper)氏が兼任し、当初10人程度のエンジニアからスタートする。研究開発センターでは、通信事業者向けに新しいアーキテクチャを採用した次世代ハイエンドルータOSである「IOS-XR」の研究開発を中心に、IPv6やマルチキャストなどのテクノロジに関しても取り組んでいくという。また、セキュリティやQoSなどの既存テクノロジの改良も実施する。

 同社は、12月7日にルータ・スイッチ分野で富士通と提携した。富士通との提携後の第1弾事業では、「IOS-XR」を搭載した「Fujitsu-Cisco」ブランドの製品を共同開発する予定だ。新製品の開発作業には、両社のメンバーで構成した開発チームが取り組むとしており、日本における開発の比重が高まる。シスコシステムズは、「富士通との提携による共同開発も、センターにおける開発の一環として行う予定だ。ただし、富士通との共同開発がメインなのではない」と語っている。

 また、日本のブロードバンド利用が年間500%で成長していることから、日本の通信サービス事業者はインフラの拡充を迫られた結果、現在ではおおよそ米国の5倍のデータ転送が可能になったという。同社が今年初めに発表したキャリアルーティングシステム「CRS-1」では、日本の通信サービス事業者の意見を直接取り入れて開発するなど、開発における日本の通信サービス事業者の重要性が増しているといった背景もある。

 シスコシステムズでは日本に研究開発センターを設立する理由として、「日本は現在世界で最も進んだネットワークインフラを持つ国となった。その意味で、開発した製品が日本市場で通用するのであれば、世界中の市場で耐え得るといえる。日本に設立するのは、優れた市場機会が存在する場所に研究開発リソースを分配するという当社戦略の延長である」と説明している。

(編集局 大津心)

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