オンサイト保守の「管制塔」、デルが新施設に込めた決意は

2005/2/9

 デルはサーバ、ストレージ製品のオンサイト保守サービスの実施状況を一元監視する24時間365日の施設「エンタープライズ コマンド センター」(ECC)を、本社が入る川崎市のビル内に開設したと2月8日に発表した。銀行の基幹系システムなどミッションクリティカルな分野にIAサーバを浸透させるには、サポートサービスの充実が不可欠と判断して開設した。デルの代表取締役社長 浜田宏氏は「ECCは保守の品質、スピードを格段に上げる。サポートサービスを強化しようというデルの決意の表れだ」と述べた。

デルが開設した「エンタープライズ コマンド センター」。オンサイト作業の状況が前方のスクリーンに映し出される

 ECCは顧客からの障害発生の連絡、テクニカルサポートによる障害の切り分け、エンジニアの派遣、パーツの手配、障害復旧作業などオンサイト保守の各プロセスを監視し、作業が適切に行われるよう調整する。デルではECCを「オンサイト保守サービスの管制塔」と位置付けている。オンサイト保守作業中に障害が発生した場合は、ECCが製品開発チームやパートナー企業に連絡し、問題の早期開発を図る。ECC内ではオンサイト保守作業のステータスが一元監視できるツール「エンタープライズ・サービス・モニタリング・ツール」と、現在の作業場所を地図上に表示する「マッピング・ツール」を利用する。

 ECCの対象はデルのIAサーバ「PowerEdge」とストレージ製品「Dell|EMC」「PowerVault」で、シルバーまたはゴールドのサポートサービスを利用している顧客。シルバー、ゴールドの顧客は追加料金なしにECCの監視サービスを受けられる。24時間の監視を行うのは2005年5月からで、それまでは9時から17時まで8時間のサービスとなる。

 ECCはデルの本社が入る川崎市のソリッドスクエアビル3Fに開設。27席を設けて専任のエンジニアがオンサイト保守作業を監視する。当初は10人のエンジニアが交代で監視。最終的には20人程度までエンジニアを増やす予定。

ECCの開設セレモニーに出席したインテル、SAPジャパン、日本オラクル、マイクロソフトの各担当者

 ECCは2003年11月に米国テキサスの本社に開設。その後、2004年には中国、アイルランドにも開設した。日本のECCは4拠点目。日本のECCが災害などで機能しなくなった場合は、米国や中国のECCから日本の顧客をリモート監視するなど、相互の連携が可能だという。

 ECCは障害が発生した後に関係部門やパートナーを調整し、迅速で高品質なオンサイト保守作業を提供するのが主目的だ。しかし、デルはサーバやストレージの24時間のリモート監視サービスとの統合など、よりプロアクティブなサポートサービスの機能をECCに持たせることも今後検討する。ハードだけでなくソフトウェアを含めた障害対応や、他社のサーバとDell|EMCストレージで構築されたシステムのサポート、ストレージの定期診断なども提供する予定で、「エンタープライズサービスの基盤」(デル エンタープライズ事業本部 本部長 長谷川マイケル氏)にすることを目指す。

Dell|EMCストレージの出荷が2.3倍に増加

 EMC アジア・パシフィック/ジャパンのプレジデント スティーブン・フィッツ(Steven D. Fitz)氏はECC開設の記者会見であいさつし、デルとEMCの共同ブランドであるDell|EMCによるストレージ販売が「EMCの成長の源泉となった」と述べた。フィッツ氏によると、国内でのDell|EMCストレージの2004年の出荷台数は、2003年と比較して2.3倍に増加。特に2004年第4四半期のDell|EMCストレージの出荷台数は前年同期と比較して4.6倍になったという。フィッツ氏は成長の要因を「ローエンドの製品が非常に成功した」と説明した。

(@IT 垣内郁栄)

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デルの発表資料

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