オフショア開発現場からの報告、不安なのはコミュニケーション

2005/2/22

 ナレッジサインは2月21日、オフショア開発に従事する開発担当者を集めたワークショップ「オフショア開発成功のレシピ研究会」の統括レポートを発表した。このレポートは、サンライズ・テクノロジー主催で2004年5月から11月にかけて計6回開催したワークショップの内容をまとめたもの。

 オフショア開発企業にアウトソースしたことのある国内ITベンダやアウトソース先の企業(中国やフィリピンなどの企業)、および、国内外のブリッジSEという、オフショア開発にかかわる3者が、それぞれの立場でオフショア開発の現状の問題点を率直に議論した。

 ワークショップ参加者43人に行ったアンケートによると、オフショア開発を検討する際、最も不安に思うことは「海外開発先とのコミュニケーション」「海外エンジニアの基本的なクォリティ」の2点だった。この2つの懸念は、発注先の状況が不明瞭という要素を含んでいる。オフショア開発を検討するに際し、一番最初に浮かぶ懸念であるといえる。いまだ日本国内では、オフショア開発に関しては多くの企業が興味を持ちながらも、手探りの状態であるということがうかがえる。

 オフショア開発先を選定する際に最も重視する項目としては、「日本側での橋渡しの存在」、つまりブリッジSEの存在であった。データを分析したナレッジサインによると、この場合の橋渡しとは、“コトバや技術内容の伝達としての『通訳』としての意味と、現地開発先との『調整』の2つの意味での橋渡しを指す”という。いずれの場合にしても、オフショア開発を成功させるには、優秀なブリッジSEの存在は不可欠だという。優秀なブリッジSEとは例えば、“SEとしてのクライアントに対する課題解決能力”“プロジェクトの進ちょくを管理するタスク・マネジメント能力”“あらゆるステークホルダーとのコミュニケーションを円滑にするコミュニケーション能力”など、さまざまな能力を身に付けたスーパーSEを指す。

 ワークショップで行われた議論の統括レポートを読むと、オフショア開発先(エンジニア)の常識と日本の常識の相違が際立っている点が特徴であることがわかる。この常識の相違は、日本側の企業にとっては悪い意味でのギャップを指す。例えば、“指示した仕様通りにならない”“納期が遅れるのは当たり前”といった問題点が挙げられる。問題の根本には、双方の常識のギャップがある。ギャップを上手に埋め、開発計画をスムーズに進めるにあたって、優秀なブリッジSEはどうしても必要となる。

[関連リンク]
ナレッジサイン
「オフショア開発」レポートのダウンロード先

[関連記事]
「オフショア開発はリスキー」というEDSは“ベストショア開発” (@ITNews)
インド企業の進出で国内プログラマに「厳しい生存競争」 (@ITNews)
このままだとSI企業は存在価値がなくなる? (@ITNews)
富士通のミドルウェア、インドを足がかりに世界へ (@ITNews)
最短90日でシステムを構築、EDSが新サービス提供へ (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)