ネットワーク情報を文章の流れのように調べるルータ
2005/3/2
インターネットの原型であるARPAnetを設計したローレンス・ロバーツ(Lawrence Roberts)氏が創業したことで知られるカスピアンネットワーク。「フローベース」という独自の概念を取り入れたコアルータ「Apeiro」を、主に通信事業者向けに提供している。
ここでは、カスピアンネットワーク ネットワークアーキテクトのリアド・ハルタニ(Dr. Riad Hartani)氏に、同社の現在の状況と今後の戦略を聞いた。
米カスピアンネットワーク ネットワークアーキテクト リアド・ハルタニ氏 |
ハルタニ氏 詳細はお伝えできませんが、欧米のキャリアや大学などに採用されています。最近では韓国の電子通信研究院が導入し、韓国のブロードバンド・コンバージェンス・ネットワーク向けに、MPLS(Multi Protocol Label Switching)技術とカスピアンのフローステート・ソリューションを融合させた次世代ネットワークを共同開発することが決まりました。また、米国の次世代通信衛星の通信システムの基幹技術として米ノースロップ・グラマンと協同開発契約を結んだことも大きなニュースです。
──フローステート・ソリューションとは?
ハルタニ氏 次世代ネットワークのMPLS技術に、QoSや輻輳(ふくそう)コントロール、セキュリティなどの機能を付加します。シスコシステムズやジュニパーネットワークスのMPLSベースのコアルータは、ハブ間をホップするデータをパケットベースで処理しています。その補完として、当社の技術ではパケットの流れをトラフィック情報として保存し、活用できます。具体的には、最初のパケットの情報を保存しておき、続くパケットを関連付けして、すべてのパケットを状態として調べられるということです。
言葉の流れに置き換えて説明すると、パケットベースが「単語」で、フローステートベースを「文章」とイメージすると分かりやすいと思います。
──では、フローステート・ソリューションは、MPLS技術を補完するための技術なのでしょうか?
フローステート情報でネットワークを調べるApeiro |
ハルタニ氏 質問のように、MPLSを補完する意味でフローステートは有効です。しかし、私はそれだけでなく、フローステートはMPLSなしに、次世代インフラを構築できると考えています。確かに、過去数年間でMPLSが増えてきましたが、まだ世界中のどこを見ても、「どこにでもある」といった状況ではありません。当社のフローステート技術は、ルーティング技術をかつてない水準に高め、要求の厳しいPtoPマルチメディア・アプリケーション向けに、確実性、IP QoSの保証、モビリティ、セキュリティなどのメリットを提供する技術ですから。
──カスピアンネットワークの今後のチャレンジを教えてください
ハルタニ氏 5年10年先を見越してネットワークを設計するキャリアなどであれば、十分にカスピアンネットワーク製品のメリットをアピールできると考えています。日本でもソリトンシステムズや理経、NECシステム建設などのパートナーを通じて、販売力を強化していきたいと考えています。
(@IT 富嶋典子)
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