[VERITAS VISION 2005開催]
「まるで故郷に帰ってきた気分だ」、シマンテックCEOが講演

2005/4/29

 「まるで故郷に帰ってきた気分だ」。米シマンテック 会長兼CEO ジョン・トンプソン(John W. Thompson)氏は、サンフランシスコで開催中のイベント「VERITAS VISION 2005」の基調講演で、ベリタスとの合併についてこのような感想を述べた。同氏は米IBM勤務時代にストレージ担当などを経て、シマンテックに転籍したことから、このような感想を抱いたという。同氏は講演中、何度も「セキュリティとアベイラビリティ(可用性)の融合こそが、最も重要なことだ」と語り、両社が合併するメリットを強調した。

米シマンテック 会長兼CEO ジョン・トンプソン氏

 トンプソン氏は、「現在のビジネスでは、情報が最も重要。情報こそが宝だ」と言い切る。情報が最も重要な現在のビジネスでは、情報に対するセキュリティはもちろん、アベイラビリティも必要であるという。そこでセキュリティを専門とするシマンテックとアベイラビリティを専門とするベリタスの合併は、当然の流れだと説明した。合併後の具体的なサービスのイメージとしては、「企業内でアクシデントが起きた場合、バックアップからリカバリ、ウイルスによる被害を修復するまでの作業を、一貫して自動で行うことも可能になるだろう」などと説明した。

 情報に対する現在の脅威は2つあるとトンプソン氏はいう。1つは、2003年1月に登場し、一時期韓国のインターネットを壊滅状態にしたワーム「Slammer」のようなセキュリティ上の脅威。もう1つはニューヨークやカナダで2003年8月に発生した大規模停電のようなアベイラビリティ上の脅威だ。「IT環境においては、セキュリティの脅威だけに対策していても駄目。アベイラビリティの脅威に対しても対抗する用意をしておかなければならない」(トンプソン氏)。合併後の会社は、このような両方の脅威に耐えられるインフラを提供し、「セキュリティとストレージをシームレスに結合した状況」を実現するという。

 合併後については、「デジタル・ビデオ・レコーダ(DVR)の『TiVo』のように、テレビ番組を見逃してもオンデマンドで閲覧できるようなサービスを提供したい」とコメント。具体的には、バックアップとリプリケーションが同時にできるサービスを提供したいとしている。そのほか、ベリタスが前日にVERITAS VISION 2005で発表したアーカイブの新技術「Panther」を例に出し、「アーカイブしたデータをGoogleのようなインターフェイスで検索できるのは本当に素晴らしい。このような技術と当社の技術を融合させたい」(トンプソン氏)といった意欲も見せた。

 そのほか、多発している情報漏えい事件を例に出し、「情報漏えいは、本来セキュリティの問題ではない。プロセスの問題だ。これを防ぐためにはセキュリティとアベイラビリティを融合したコンセプトが必要で、現在コンサルティングサービスを提供するために準備している」と明かした。合併後の体制については、「サポートやパートナー体制の現状のレベルを落とすことは絶対にない。むしろ両社の良いところ、強い部分を組み合わせ、サポート体制とパートナー体制の両者を強化していきたい」と説明。「今回の両社の統合はまだまだ手始めの段階だ。合併が完了後からすべてのシナジーが発生していく」と抱負を語った。

(@IT 大津心)

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