積極的なM&Aで法人市場開拓、NTTデータの中期経営計画
2005/5/10
NTTデータ 代表取締役社長 浜口友一氏 |
NTTデータは5月9日、2005年度3月期の連結決算を発表した。売上高は連結対象子会社の売上拡大などの要因で増収となったが、利益は原価率の悪化や成長施策などの支出によって減益となった。すなわち、売上高は対前年比0.9%増の8541億円、当期純利益は対前年比25.4%減の201億円である。売上高、利益ともに黒字となったが、成長性という観点からみた場合は厳しい状況にあるといえる。
現在、同社は中期経営計画を策定し、強みのシステムインテグレーション分野で基礎体力の向上を図ろうとしている。この施策により、2006年度は売上高で前年同期比3%増の8800億円、当期純利益で同34.3%の270億円を目指す。
中期経営計画を達成するための戦略として特筆すべきポイントは、事業分野における軸足の置き方にある。これまで公共分野で強みを発揮してきた同社だが、市場規模の頭打ちという状況のなか、新たな事業分野を開拓していく必要に迫られている。同社 代表取締役社長 浜口友一氏は同社のターゲット市場を公共、金融、法人の3分野に特定し、「(競合他社に比べ)後発である法人分野を攻めていく」方針を示した。浜口氏によれば公共、金融、法人市場の規模は「2兆、2兆、4兆ほど」であるといい、これまで公共分野に偏っていた売上構成をそれぞれで均等に分散できるようにしていく予定である。2004年3月期では公共分野の売上は全体の41%で、金融分野が29%、法人分野が9%だったが、2007年3月期では公共分野を35%にまで減らし、金融分野を29%、法人分野を27%程度にまで拡大する計画だ。
法人分野についてはこれまで顧客企業の情報システム子会社と資本提携を結びながら、顧客基盤を拡大したり、業務ノウハウを蓄積したりという施策を展開してきた。今後も同様の戦略を展開しながら、さらに独立系システムインテグレータや業種特化型の専門企業などとのM&Aを推進していく考えだ。業種特化型の専門企業との提携は、システム開発における上流コンサルティング能力や提案営業力の強化を狙う動きである。なお、これまでの提携実績としては、日本たばこ、三洋電機、日本板硝子、セイコーインスツル、積水化学がある。
(@IT 谷古宇浩司)
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