あなたの指のヘモグロビンの影、見たくないですか?

2005/5/28

 日立製作所は5月27日、日立電子行政ルーム「CyberGovernment Square(CGS)」の展示内容をリニューアルし、5月30日から一般公開すると発表した。リニューアルによって、新たに指静脈認証やシンクライアントノートPCなどが展示されており、実際に触ることができる。

日立製作所 情報・通信グループ 公共システム営業統括本部 副統括本部長 津田義孝氏
  CGSは2000年3月に開設して以来、電子行政専用のショールームとして、国内外の電子行政動向や先進事例などを公開しており、のべ約9000団体、1万8000人が来訪している。今回、5周年を記念してショールーム内のほとんどのコンテンツを一新した。また、通常時においても月に2〜3個の展示品を入れ替えているという。展示しているコンテンツは、常時30種類に上る。

 日立製作所 情報・通信グループ 公共システム営業統括本部 副統括本部長 津田義孝氏は、「現在は、『IT利活用』の促進に向けたラストスパートの時期だ。今回のリニューアルでは『実現したくなる未来を魅せる』と、セキュリティに重点を置いた」と説明し、「所内のソリューションに触れることで、来場者に具体的な実現イメージを体験してほしい」と述べた。

 ショールーム内には、特別展示として指静脈認証システムを搭載したATMを展示。このATMでは、ICチップ搭載キャッシュカードに指静脈のデータが入っているため、認証時にサーバと通信する必要がない。このため、高速な処理を実現しているという。指静脈認証では、そのほかPCへのログインや入退室認証のデモも行っていた。ショールームでは、実際に自分の指の静脈陰影を登録し、ログインや入退室のデモを体験できる。

ハードディスクを搭載していないノートPC「FLORA se210」
 セキュリティに関しては、情報漏えいの8割が社内からの漏えいが原因と説明。「どうやって防ぐかではなく。漏れてしまうもの、という認識からスタートする必要がある」(津田氏)と強調。データを保持しないシンクライアントの有効性を説明した。展示されていたソリューションでは、ハードディスクを搭載していないノートPC「FLORA se210」と認証装置「KeyMobile」を組み合わせたPCから、VPNを経由して自分の机の上にあるデスクトップPCをコントロールするデモが行われた。通信中は、デスクトップPCのCPUリソースを使っており、ノートPCはデスクトップPCの画面を表示しているだけだ。このため、300kbps程度の帯域の回線で利用できる。

 電子申請ソリューションコーナーでは、日立が製品化した「戸籍手続きオンラインシステム」を展示。現行の自治体のシステムでは、オンライン上から戸籍謄本などの申し込みができるものの、紙の住民票を添付しなければならず、オンラインだけでは完結しない。そこで日立では、電子証明書付きの住民票を戸籍謄本申請時に添付することで解決するソリューションを展示している。今後、同社ではペーパーレスのオンライン申請システム実現に向けて、政府へ働きかけるとしている。

(@IT 大津心)

[関連リンク]
日立製作所報道発表資料

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