ソフトウェアテストが開発のコストを下げる

2005/6/1

 ソフトウェアの品質に対する注目が高まっている。アイティメディアが主催したイベント「@ITソフトウェアテスト・ミーティング」の基調講演で、電気通信大学 電気通信学部 システム工学科 西康晴氏(講師 工学博士)は「以前は1カ月に1本もテスト関係の記事が雑誌に載ることはなかった。いまは雑誌やWebのテスト関係の記事が増え、良質な参考書も出てきた」と語った。

電気通信大学 電気通信学部 システム工学科 西康晴氏(講師 工学博士)

 西氏は、ソフトウェアの品質テストについて、数年前と現在では大きく認識が異なっていると指摘する。「バグを見付けるので精いっぱいというテストは数年前の話。テストでバグを見つけるのは当然で、それに加えてユーザビリティやセキュリティなど、バグ以外の評価を行い、顧客の満足度に結び付けなければならない」(西氏)。また、発見されたバグを分析してテストを改善するだけでなく、設計工程を改善し、最初からバグが出ないようにプロセスを改善していくことも必要だとした。「テストをしっかりやると上流が改善され、結局は開発全体のコストが減り、工数が少なくなる」(西氏)という。

 さらに望ましいのは、要求仕様書を書いている段階から腕のいいテスト技術者をはりつけて仕様書のレビューをしたり、設計と同時にテスト項目を作成したりすることによって、ビルドが終わってからの工程を減らすことだという。西氏は「いまや、開発とテストをバラバラにやる時代ではない」という。

 西氏によると、テストは「品質向上のコア技術」。テストをおろそかにすると上流でバグをつぶすことができず、だんだん品質が悪くなる。テストをアウトソーシングする場合も丸投げにするのではなく、あくまでも自社でテストを行うためのアドバイスを受けるという姿勢が重要だという。テストツール導入の際も、自分たちのテスト工程をきちんと把握したうえでツールを使いこなせれば、最大限の効果をもたらす。

 しかし、実は多いパターンとして「何に困っているのか分からない現場が多い」のだと西氏は言う。まず自分たちの現場で何が起こり、何に困っているのかを分析すること。そこが分かれば自分たちでテストを改善することが可能だという。

(@IT 長谷川玲奈)

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