EMCが狙う次の成長市場、e-Discoveryってなに?
2005/6/3
訴訟や会計監査で必要とされる電子書類を迅速に用意して提出する。EMCが次の成長市場としてみているのは企業内で電子文書を安全に保管して、必要なときには適切、迅速に探し出すこのような「Electronic Discovery」(電子開示、e-Discovery)の市場だ。米EMCのCentera担当マーケティング・ディレクター エリック・ジャン・シュミット(Eric Jan Schmidt)氏は「訴訟などで情報開示を適切にできない企業は有罪と見なされることもある」と述べ、e-Discoveryの重要性を指摘した。
米EMCのCentera担当マーケティング・ディレクター エリック・ジャン・シュミット氏 |
EMCがe-Discovery向けに売り出しているのが、企業の月次報告書や音声データ、電子メール、技術図版のスキャンデータなど、1度作成したらその後に変更することがないコンテンツを格納するアーカイブ・ストレージ「EMC Centera」だ。Centeraは2002年9月に投入され、「EMCの歴史上、最も速く成長しているプラットフォーム」(シュミット氏)。国内では金融など大量の契約書を保有する業種で、まずは成長してきたが、最近はe-文書法や個人情報保護法への対応で利用が増えているという。
これまで電子文書のアーカイブというとテープドライブが主流だった。しかし、シュミット氏は、企業がe-Discoveryやコンプライアンスに対応するには、「どのアプリケーションからでも迅速にアクセスできる接続性やコンテンツの正真性、効率的な管理、拡張性が求められる」と説明し、テープドライブではこの要件を満たせないとした。
CenteraはNFS、CIFS、FTP、HTTPの各プロトコルを使って、どのアプリケーションからでも利用可能。「磁気ディスクのように常にオンライン、光ディスクのように『WORM』(Write Once,Read Many)、テープのようにTCOを最適化」する“アクティブ・アーカイブ”が可能だという。
Centeraが目的の文書を素早く探せるのはコンテンツの管理にXMLベースのメタデータを利用しているからだ。コンテンツが作成されると、Centeraがコンテンツに対してユニークなコンテンツアドレスを作成する。コンテンツアドレスを利用することで同じ内容のコンテンツを二重でストレージに格納してしまうことを防げる。同じファイルが添付された複数の電子メールを保存する場合でも、添付ファイルは1つだけが保存される。
Centeraは、メタデータを使ってコンテンツのポリシー管理をすることも可能だ。メタデータに付けられた作成日の情報を利用。企業幹部が作成したコンテンツは長期間保存、一般従業員が作成したコンテンツは2年経過したら廃棄など、「ユーザーごとに保存と廃棄を管理できる」(シュミット氏)。Centeraが作成するコンテンツのメタデータは、ISVパートナーが開発したアプリケーションからも利用できる。
EMCはCentera内のメタデータを検索して、目的のコンテンツを探し出すソフトウェア「Centera Seek」も年内に国内で投入する。メタデータに組み込まれた検索インデックスを利用してクエリを実行するソフトウェア。パートナーのアプリケーションなどと組み合わせて、保存期間が過ぎた特定の拡張子のファイルなどを探し出すことができる。シュミット氏は「高速かつ詳細な検索で電子的な法的証拠開示に対応する」としていて、国内でのe-Discoveryのニーズに対しても適用可能とした。
(@IT 垣内郁栄)
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EMCジャパン
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