NECがハイエンドストレージで狙う「第1グループ入り」

2005/6/10

 NECは6月9日、SAN対応ストレージのハイエンドモデル「iStorage S4900」を発売した。データ転送速度を従来のNEC製品の10倍に高速化したクロスバースイッチや高速RAIDプロセッサを搭載し、基幹業務やストレージ統合に活用できるという。出荷は7月29日で価格は3246万円から。

NECの執行役員 伊藤行雄氏

 NECはS4900の投入を機にストレージ市場でのシェア拡大を目指す。NECのストレージ製品の売り上げは年200億円程度。国内でのシェアは第1位グループの日立製作所、EMCジャパンと10ポイント以上離され、9%となっている。NECの執行役員 伊藤行雄氏は「3年後に第1位グループに入り、テクノロジやクオリティだけでなく、マーケットでもリーダーになる」とした。「そのためには200億円の売り上げを倍増しなければいけない」(伊藤氏)。

 S4900は、ディスクアダプタ、ホストアダプタとキャッシュメモリを接続するクロスバースイッチのデータ転送速度を192GB/sまで高速化した。これまで別々のストレージで運用されていたSANを1台のS4900に統合することが可能になる。「高性能クロスバーで小規模から大規模までスケーラブルな処理能力を発揮する」(NEC)という。

NECが発表したハイエンドストレージ「 iStorage S4900」

 また、スーパーコンピュータの技術や、自社開発のLSIを組み込んだRAIDエンジンを搭載。2基のハードディスクドライブが同時に故障しても短時間でRAIDを再構築し、業務を継続できるRAID-6を実現した。NECによると他社が採用しているRAID-5の場合、業務を継続できるのは1基のHDD故障まで。さらにRAIDを再構築するには300GBのHDDの場合でフルコピー時でも10時間かかるという。NECは「RAID-6が業務停止する確率はRAID-5の1000分の1」としている。

 出荷時には搭載されないが、NECは将来的に「学習型トレンド分析」と呼ぶ技術をS4900に搭載する計画。学習型トレンド分析は過去のストレージの負荷状況を分析し、将来の負荷変動を予測する技術。月末、期末など負荷状況の周期性も含めて分析することができ、リソースが限界を迎える最短、または平均の時間を割り出す。学習型トレンド分析を利用することで負荷が限界を超える前にボリュームの再配置やディスクアレイの追加ができる。

 S4900は最大1200のHDDを搭載可能で、257TBまで容量を拡張できる。ファイバチャネル・ポートは従来のNEC製品の2倍の128ポートまで拡張可能。スループット、IOPSとも世界最高クラスの性能だという。

(@IT 垣内郁栄)

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NECの発表資料

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